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「教室に入ってくるAを見た瞬間、心臓を掴まれるような、そんな衝撃が走ったんだ」
そんな話を聞いて、その日、快斗に貰った薔薇の花を思い出した。
今の快斗の顔はその薔薇のように、ほんのりと赤く色づいている。
「一本の薔薇の花言葉は知ってるか?」
突然聞いてくる快斗。
花言葉に詳しくない私が知っているはずがなく、小さくかぶりを振った。
「『一目惚れ』だ」
ドキリとする。
"一目惚れ"だなんて……それはきっと、私だって同じだ。
「快斗って花言葉に詳しいんだね」
「はは、まあな」
怪盗キッドになって鍛えられた気障っぷりかな、なんて一人で笑う。
「─────だから」
急に、空気が変わる。
先程の穏やかな目とは打って変わって真剣な眼差しで見つめてくる快斗。
「俺と、付き合ってくれますか?」
いつの間にか、私の頬には温かい涙が零れていた。
……なんだ、"初恋は叶わない"なんて嘘じゃん。誰が言ったの。
「はい……!」
嬉しくなって、思いっきり快斗に抱きつく。
「うわっ…!」
奇声を発した快斗に少し笑って、彼の顔を見た。
すると彼も同じように私を見る。
いつかのように、じっと見つめ合う心地よい時間が流れた。
数秒後、唇に柔らかい感触があったと思えば──────………
──────月の淡い光に照らされる二人の姿が重なった。
.
快斗と二人、窓ごしに見える綺麗な月を眺めた。
「月が綺麗ですね」
快斗の顔を見やると、彼は月に目を向けたままポツリとそう呟いた。
相変わらず怪盗キッドのような気障な台詞を吐く快斗に、ふわりと笑みを零す。
「……死んでもいいわ」
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華美 - 木実こむぎ@Project KZ副隊長さん» 初期の頃からですか!ありがとうございます嬉しいです!これからも頑張ります〜 (2019年6月21日 19時) (レス) id: 06514a18af (このIDを非表示/違反報告)
木実こむぎ@Project KZ副隊長(プロフ) - うわぁぁあ( ;∀;)終わってしまった、、、初期の頃から読ませていただいてました!番外編待ってます!( ´ ▽ ` )ノこれからも頑張ってください! (2019年6月21日 18時) (レス) id: 7f9bbdec25 (このIDを非表示/違反報告)
華美 - 雨上がりのcrewさん» わわ、ありがとうございます!これからもよろしくお願いします! (2019年6月19日 10時) (レス) id: 06514a18af (このIDを非表示/違反報告)
雨上がりのcrew(プロフ) - すごい。。。この作品私得←これからも更新頑張ってください!! (2019年6月16日 15時) (レス) id: 11f12a305b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:華美 | 作成日時:2019年5月7日 21時