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月曜日の朝。
私は今、外に出る勇気も出ずに玄関でドアスコープを覗いている。
私が快斗のことを……す、好き………だと知った今、これまで恋愛経験をしてこなかったがために、どう接していけばいいのか分からないのである。
挙句の果てに、その彼には青子ちゃんというとてもお似合いの彼女がいる。
そう、私にはてんで勝ち目が無いのだ。
更にドアスコープの向こうでは、その二人が深刻そうな顔で話していて……。
一向に学校に向かう気配のないそのカップルは、私の家の玄関を指差しながらこちらへ歩いてくる。
……え?こっちに来る……?
かと思えば、ピンポーンと無駄に心地の良いベルの音が鳴った。
「Aちゃーん!一緒に学校行こー!!」
二人が正式なカップルとなった今、私がそこに入るのは流石に図々しいのではないか?
居留守を使おうとしても、その分呼び鈴の音が寂しい家の中に響くだけで。
「……おはよう」
「やっと出てきた〜!おはよ!」
「はよ!」
爽やかな笑顔のカップルで、お似合いだなぁ。
涙が出そうになったけれど、空を見上げて必死に堪えた。
「………青子、先に行ってるね!」
「……え?」
「えっと……今日、花壇の水やり当番でさ!」
二人でゆっくり行って!
……そう言う青子ちゃんの顔は、どこか影があって。
でもそれはほんの一瞬で、すぐにいつもの可愛らしい笑顔に戻っていた。
「え、あっ……ちょっと!」
呼び止めようとするも、青子ちゃんの俊足ですぐに近くの角を曲がり、その姿はもう見えなくなってしまった。
「えっと……まぁ、あれだ。一緒に行こうぜ」
……意味が分からない。
本当に、分からなかった。
だって、二人は付き合っているんでしょう?
「ふた………は」
「え?」
「……二人は、付き合っているんじゃないの?」
震える声で問うと、快斗は目を見開き……
「見てたのか……?」
と呟いた。
その反応……やっぱり付き合っているんじゃないの。
なら、何で私と?
失恋した今の私には、快斗といるだけで辛いのに。
……こんなの、皮肉だ。
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華美 - 木実こむぎ@Project KZ副隊長さん» 初期の頃からですか!ありがとうございます嬉しいです!これからも頑張ります〜 (2019年6月21日 19時) (レス) id: 06514a18af (このIDを非表示/違反報告)
木実こむぎ@Project KZ副隊長(プロフ) - うわぁぁあ( ;∀;)終わってしまった、、、初期の頃から読ませていただいてました!番外編待ってます!( ´ ▽ ` )ノこれからも頑張ってください! (2019年6月21日 18時) (レス) id: 7f9bbdec25 (このIDを非表示/違反報告)
華美 - 雨上がりのcrewさん» わわ、ありがとうございます!これからもよろしくお願いします! (2019年6月19日 10時) (レス) id: 06514a18af (このIDを非表示/違反報告)
雨上がりのcrew(プロフ) - すごい。。。この作品私得←これからも更新頑張ってください!! (2019年6月16日 15時) (レス) id: 11f12a305b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:華美 | 作成日時:2019年5月7日 21時