11 ページ12
.
朝起きると、スマホには不在着信やメールが何件も入っていた。
確認すると青子ちゃんと快斗からのもので、二人とも急に居なくなった私を心配してくれていたようだ。
『ごめんね、急用ができちゃって』
たった一言だけ送るとベッドにスマホを投げ捨て、洗面所で顔を洗う。
鏡を見ると案の定、目が腫れた私の顔がそこにあった。
昨日のことを忘れるように、冷たい水を顔に打ち付ける。
これからどういう顔で二人と接していけば良いのか、私には全く分からなかった。
.
『ごめんな』
昨日の快斗の言葉を思い出しながら、私・中森青子はスマホの画面を見つめた。
『俺………Aが好きなんだ』
その時の快斗の顔は、見たことないくらい顔が真っ赤で。
……青子には、入る隙が無いなぁ。
Aちゃんの快斗に対する気持ちにも、何となく勘づいていた。
だって、あの二人……話す時いつも顔赤いもん。
不思議と涙は出なかった。
ただ残るのは虚無感と何かを失った喪失感。
これは初恋だったし、初恋は実らないものだとよく聞くからしょうがないと悟った。
スマホには、Aちゃんから送られてきたたったの一文。
『ごめんね、急用ができちゃって』
そんなの嘘。Aちゃんの嘘つき。
青子が快斗に告白する所、見てたんでしょ？
あの二人は両思い。
……否、両片思い？
いつかきっと、二人の想いが伝わる日が……来る。
その時には、笑顔で祝福できるようにしないと。
でも、当分二人を笑顔で応援することはできないだろう。
………青子ってば、こんな嫌な奴だったっけ？
快斗とAちゃんの笑顔を思い出すと、いつの間にか顔が涙で濡れていた。
快斗に振られてからやっと流した涙は、とても冷たくて唇に触れるとしょっぱかった。
……これからどういう顔で二人と接していけば良いのか、青子には全く分からなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 146人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
華美 - 木実こむぎ@Project KZ副隊長さん» 初期の頃からですか！ありがとうございます嬉しいです！これからも頑張ります〜 (2019年6月21日 19時) (
レス) id: 06514a18af (このIDを非表示/違反報告)
木実こむぎ@Project KZ副隊長(プロフ) - うわぁぁあ( ；∀；)終わってしまった、、、初期の頃から読ませていただいてました！番外編待ってます！( ´ ▽ ` )ﾉこれからも頑張ってください！ (2019年6月21日 18時) (レス) id: 7f9bbdec25 (このIDを非表示/違反報告)
華美 - 雨上がりのcrewさん» わわ、ありがとうございます！これからもよろしくお願いします！ (2019年6月19日 10時) (レス) id: 06514a18af (このIDを非表示/違反報告)
雨上がりのcrew(プロフ) - すごい。。。この作品私得←これからも更新頑張ってください！！ (2019年6月16日 15時) (レス) id: 11f12a305b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：華美 | 作成日時：2019年5月7日 21時
