灰色の空に隠れた未来【3年A組】 (ページ3)

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if話～バレンタイン編1～ページ3

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『…ばれんたいんでー？』

「え、Aバレンタイン知らないの!?」

2月5日

いつも通り学校に来ると、澪奈がにこにこと嬉しそうに近付いてきた

チョコは誰に渡すのかだとか手作りなのかだとか、さくらのマシンガントークの如くテンション高めに話し続ける澪奈

思わず固まる私に澪奈が不思議そうに［ばれんたいんでー］なるものについて話し始める

それについて聞き返したのが、冒頭の会話である

「えっバレンタインにチョコあげたりしなかった？友達とか、」

澪奈の声が他の皆にも聞こえていたようで、さくらや香帆、涼音が集まってきた

『…私、まともな友達澪奈が初めてだったから』

「…なんか変な事聞いてゴメン」

私の事情は既に皆に言ってある

最初は驚いていたものの、さくらや澪奈は変わらず友達でいてくれたし、今まで話すことさえしていなかったクラスメイトも徐々に接してきてくれるようになった

私自身も皆が受け止めてくれた事で、肩の荷が降りて澪奈やさくら以外の皆とも仲良くなれていた

「…あ、じゃあさ皆でチョコ作りしようよ！」

暗くなってしまった雰囲気の中で放たれた澪奈の言葉に周りの女子の様子が変わる

キラキラとした目でお互いに目配せをして、最終的に私にその視線が集まった

仲良くなったからといってこの空気が得意になった訳ではない

取り敢えずトイレにでも逃げようかと考え始めた私の肩を、さっきとは違う笑顔を浮かべた澪奈が掴んだ

ここで私は漸く逃げられないことを悟ったのである

「ふふふ…何年Aの友達やってると思ってんの～？」

『知り合ったのは1年前だけど仲良くなり始めたのは割と最近だよね？？』