第134話 ページ37
部屋に入ると宗近さんに抱き締められた
[Aよ。三日月宗近と何をしていた?]
『...っ』
[答えられないことをしていたということか]
あぁ...
私は三日月さんだけじゃなく、宗近さんにまで辛い思いをさせている
ダメだな
『あの、宗近さん』
[もう良い。何も言うな]
普段の優しいキスとは違う荒々しい口付けをされる
[んっ...はぁ...んんっ]
『んんっ...ふぅ...んっ!』
息が上手く出来ない
力も入らなくなり、宗近さんに支えられたかと思えば、そのままベッドに押し倒された
『あっ...ま、待って!』
[なに、声を我慢する必要ない。そなたの声を聞かせてやろう。三日月宗近にな]
『...っ!』
いつもの宗近さんじゃない
怖い
[そなたは俺のモノだと分からせよう]
『む、宗近さん...』
今の宗近さんは我を忘れている
こんな想いをさせたのは私だ
悪いのは全部、私
それなのに、涙が止まらない
泣いて済むような問題じゃない
私は宗近さんを傷付けたんだから
『ごめん、なさい...』
[...っ!]
『宗近さん、ごめんなさい』
[...謝るな]
『え?』
我に戻ったのか宗近さんは私を優しく抱き締めた
[すまない。怖い思いをさせたな]
『いえ、悪いのは宗近さんを傷付けた私です。好きにして下さい』
[出来るわけなかろう。俺にとって、そなたは大切なおなごだ]
『こんな時まで、優しくしないで下さい。私のこと軽蔑して下さい』
[それは出来んな]
『どうして!』
[これは惚れた弱みというやつだ。それに、いずれこの時がくるやもしれんと思うていた]
『それは、どういう...』
[三日月宗近が、そなたに好意を寄せた時どうなるかだ。俺も同じ立場なら同じことをするだろう。これは俺だから分かることだ]
『でも...』
[だが、予想外なこともあった。そなたの持っている鍵、見せてくれ]
『か、鍵?』
部屋の鍵を言われたまま、宗近さんに渡す
[やはりな...]
『宗近さん?』
[鍵をすり替えられている]
『え?』
鍵をよく見ると、私と宗近さんの部屋の番号ではなく、隣のかすみさんと三日月さんの番号だった
『いつの間に...』
[恐らく、そなたが酒を飲んでいる隙に、あのおなごが鍵をすり替えたのだろう。でなければ、そなたがあの部屋に居ることはないだろう]
確かに、いくら酔っていたとはいえ
間違えて違う部屋に入るはずがない
でも、それが鍵が違うとなれば別の話だ
私の注意不足だった
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作者名:ゆきんこ | 作成日時:2021年1月3日 9時