第131話 ページ34
ギリギリ花火までには間に合った
かすみさんが場所を抑えてくれていたおかげで特等席だ
花火を楽しみたいが、私はそれどころじゃない
だって、右側には宗近さんが居て左側には三日月さん。間に挟まれている
宗近さん、三日月さんと2人きりになったこと
どう思ってるのだろうか
何もなかったとはいえ、良い気にはならないよね
とはいえ、わざわざ話を振るのもな...
ドーン!
どうしようかと考えている間に花火が始まった
今は花火に集中しよう
ドン!ドン!
『綺麗...』
[そうだな]
『みんなにも見せてあげたかったな』
「皆にも見せてやりたいものだな」
『あっ...』
どうしよう
私達、今同じこと...
「仕方ありませんよ」
「そうだな」
[Aはいつも皆のことを考えているな]
『えっ、だって、審神者ですから!あはは』
今は笑ってごまかすしかない
それからは、私達は無言で花火を見続けた
「終わりましたね。花火」
『あっという間でしたね』
「これから、どうします?審神者様が予約してくれたホテルに行きますか?」
『そうですね。人混みで疲れたし行きましょうか』
審神者様が予約してくれていたホテルは外装だけじゃなく、内装も豪華だった
絶対、自分の力では来れないな
部屋割りは既に決められていて隣同士になっていた
『じゃあ、私達はこれで』
「あっ、待って!良かったら、少し呑みませんか?2人きりで」
『でも...』
[俺は先に休んでおこう。たまには、おなご同士で話すのも良いではないか?]
『じゃあ、少しだけ...』
[下の階に行ってみましょう]
かすみさんと呑み始めて数分
何を話せば良いのか分からなくて、お互いに黙ったままだ
お酒だけが進み、頭がふわふわしている
かすみさんはお酒が強いのか、グイグイいっている
「そろそろ、止めといた方が良いですよ」
『まだ、何も話してないじゃないですか。話があるんじゃないんですか?』
「三日月さんと、恋仲だったんですよね?」
『もう、昔の話ですから』
「私、三日月さんと上手くいかなくて...」
"「...かすみとは、恋仲ではない」"
頭に三日月さんの言葉が過った
「参考に何か教えてほしいと思って」
『参考ですか...』
「はい」
『人の話を聞いても上手くはいかないと思います。大事なのは向き合うことだと私は思います』
「Aさんは強いですね。ふふ、お酒には弱いみたいですけど」
『強くなんてないですよ』
「強いですよ。十分」
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作者名:ゆきんこ | 作成日時:2021年1月3日 9時