第115話 ページ18
栞さんに三日月さんのことを伝えれて良かった
早く三日月さんの元へ戻ろう
歩きだしたその時だった
「三日月さん」
「かすみよ。どうした？」
「えっと...その...」
そこに居たのは、間違いない。間違えるわけがない
三日月さんとかすみさんだった
人だかりの少ない、その場所で2人きりで居た
「三日月さん、このまま抜け出しませんか？」
「ん？まだ交流会の最中だが...」
「退屈です。せっかく三日月さんと2人きりで居るんです。もっとしたいことあるんです」
「ふむ...したいことか。此処で出来ることか？」
「はい。ただのスキンシップですから」
「では、そのスキンシップとやらを教えてくれるか？」
「こういうことです」
『...っ！』
かすみさんは三日月さんにキスをした
「はっはっは。今日は随分と積極的だな」
「い、嫌ですか？」
「構わんぞ。スキンシップだからな」
私に気付くこともなく、キスをする2人
三日月さんも受け入れている
恋仲なんだから当たり前だ
「んんっ...」
「んっ...はぁ...んん」
2人の吐息が、人だかりのないせいで嫌でも聞こえてくる
目の前には、かつて私が好きだった彼が他の女性と愛し合っている
邪魔しちゃいけない
早く、戻らなくちゃ
分かっているのに、足が動かない
[A、なかなか戻って来ないから心配＿＿]
『あっ...み、三日月さん...』
「んっ...きゃぁ！み、見られてたんですか！？」
私に声をかけた三日月さんに、かすみさんは気付いたようだ
「はっはっは。そのようだな」
どうしよう
顔が見れない
[恋仲とはいえ、公の場でどうかと思うぞ？]
「こ、これは...その...」
「なに、ただのスキンシップだ」
[ふむ...スキンシップか...]
『....』
[A、行こう]
『えっ！？ちょっ...三日月さん！？』
私の手を引き、その場を後にした
「いきなり、ごめんなさい」
「さすがに驚いたな」
「で、ですよね...」
「見られてしまったのは仕方ない。仕切り直すか」
「だ、大丈夫です！」
「そうか？」
「は、はい！」
交流会が始まった
政府の偉い人が話をしているが、今の私には何も入って来ない
そして、隣に居る三日月さんの顔を見れない
今は何も話したくない
もう、三日月さんとは終わった
私が好きなのは今、目の前に居る三日月さんだ
それなのに、胸が痛い
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作者名：ゆきんこ | 作成日時：2021年1月3日 9時
