第114話 ページ17
交流会の会場に着くと私達は恋仲としてではなく、審神者と近侍としてこの場に居る
本来、審神者と刀剣男士の恋愛は禁止ではないが
あまり良く思われていない
公にはしたくないから、三日月さんとは少し距離をおいている
でも、目が合うと優しく笑いかけてくれる
それだけなのに、平然と出来ない
いつか、ボロが出そうだ
『あっ！』
[どうした？]
『栞さんです』
そういえば、栞さんにまだ三日月さんとのこと話してなかったな...
この機会だし、伝えておこう
『三日月さん、私ちょっと栞さんと話があるので少し離れますね』
[うむ。わかった]
『栞さん！』
「Aちゃん！」
『お久しぶりです』
「元気そうで良かった」
『あの、栞さん。少し話がありまして...』
「話？」
『実は三日月さんと恋仲になりました』
「どうりでね...」
『え？』
何故か納得した顔をする栞さん
「さっきAちゃんを見かけた時、三日月さんを見ながらソワソワしてたからさ」
『あ、あぁ...この場は隠しておく方が良いかなと...』
「三日月さんと恋仲か〜」
『栞さんには伝えておこうと思って...』
「ねぇ。Aちゃん」
『はい』
「もう、三日月さんには未練ない？」
『もう終わったことですから。それに、向こうにも恋仲の相手が居ますし』
「えっ！？」
『審神者様のお気に入りの見習い審神者みたいです』
「わざわざ恋仲の存在を教えてきたの？」
『まぁ、そうなりますね』
「本当、性格悪いわね」
『さすがに驚きました』
「でも、あんなにAちゃんにぞっこんだったじゃない！」
『三日月さんは、もう私のこと覚えてないんです』
「え？もしかして...」
『私は三日月さんを傷付けた。その罰ですよ』
「そんな...」
『最初は辛かった。でも、そんな時に三日月さんが傍に居てくれて...三日月さんの優しさに惹かれていったんです』
「Aちゃん」
『はい』
「色々辛いことあったと思う。三日月さんのことに審神者のこと...もう終わったなら、縛られるものは何もない。だから、幸せになってね」
『栞さん...』
「ほらほら、三日月さんを待たせてるんでしょ？早く行ってあげなさい」
『あっ、はい！』
縛られるものはないか...
私は刀剣男士に恵まれている
今で十分幸せだ
それ以上の幸せを求めても良いのだろうか
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作者名：ゆきんこ | 作成日時：2021年1月3日 9時
