陽の目にも涙【巴日和】 (ページ9)

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「Aちゃんの旧姓が"花橋"だから僕のはお花で、僕が"日和"だからAちゃんのは太陽だね!」

みんなの前ではあんなにかっこよくアイドルをしている彼は、私の前ではこんなにも可愛いんだ。

「日和君ーー!!」

むぎゅうっと音がしそうなぐらいに抱きつくと、日和君もぎゅうぎゅうと抱きしめ返してくれる。

「Aちゃんも甘えんぼさんだね。そんなAちゃんにお願いだね。今日は一緒に寝てもいい?」

「もちろんだよ」

「それであともう一個...。その、えっとね」

恥ずかしそうに何かを言い出せないでいる日和君。

「や、やっぱりなんでもないね!」

ついにはないことにしてしまった。

「本当に大丈夫?」

「大丈夫だね。僕がAちゃん相手にもっとかっこよくそういう流れにできるようになったら実行するね」

そういう流れ..???一体何をしようとしてるのか分からないけど、おそらく今日私のために家事をほぼ全部してくれたのはその目的を果たすためだろう。

けれど言い出せないなんて何だか日和君にしては意外だ。

＿＿＿＿

あの後、ご飯を食べて歯磨きをして寝る準備を始めたところで、日和君は私の部屋の暖房をあえてオフにした。

「えっ!なんでよ」

「僕がいるのに暖房なんていらないね!」

体温を分け合おうみたいな話なのか

「いやいやそれでいったら日和君寒がりだから私があっためることになるでしょ」

「うん!僕が暖かくなって寝れるようによろしくね!」

「仕方ない..。じゃあ湯たんぽだけ用意させてね」

自室からでて、ケトルの電源を入れてお湯を沸かしていると、日和君から「Aちゃん今夜はせっかく2人で過ごせるのに僕を1人にするのかい!?」と文句が飛んでくる。

「しょうがないでしょ。一二分ぐらい我慢して〜」

「その一二分も僕は惜しいんだね。何せ人気アイドルに人気女優だもんね。忙しいったらありゃしないね」

「ふは、忙しいったらありゃしないってなんか可愛いね」

「僕は何言っても可愛いね」

湯たんぽの準備が完了して、部屋に帰って布団にそれを入れれば

日和君が私のことを抱きしめたままベッドにダイブして「さあ寝るね!!」なんて言って楽しそうに笑う。

「日和君が楽しそうで何よりだよ」

「僕と一緒にAちゃんも楽しかったらもっと楽しいね」

「私も楽しいよ」

「うんうん!いい日和!今夜は2人でいい夢を見ようね!」