陽の目にも涙【巴日和】 (ページ5)

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「Aちゃん、お風呂まだ?」

「うーん、まだまだ」

「じゃあもう一緒に入るね!」

「うそうそ!す、すぐ出るからちょっと待って!」

2年前のことを思い出しながらお風呂に入っていたら、だいぶん長風呂になってしまった。

日和君は結局二十歳になるまで私のことを想ってくれて、日和君の誕生日にお付き合いを始めた。

そうしてそのまま同棲、結婚、マイハウスの購入なんて順調に進んで今に至る。

私はお風呂から上がって日和君が脱衣所にはいれる状態にして、日和君に声をかけると脱衣所まで小走りできた。

「もー!Aちゃんたらお風呂長いね!僕を長い間1人にするなんてダメだね!」

プンプンなんて頬を可愛く膨らませている

「ワガママ王子様だなあ」

「僕がお風呂から上がったら一緒にトランプしようね!」

「わかった。準備して待ってる」

「すぐ出るからね!」

「ふふ、ゆっくり湯船につかりなよ」

お互い忙しいから2人でゆっくり過ごせる時間は少ないけど、それでもお互い一緒に過ごしてると疲れも気にならないぐらい楽しくて嬉しくて

たまに過ごせる時間がこんなにも幸せに感じて、本当に結婚して良かったなって思う。

「出たね!」

「え!?早くない!?」

トランプを準備して、ゆっくり紅茶でも準備していようかと思っていたら全身びしょ濡れのまま腰にバスタオルを巻き付けた半裸の日和君が出てきた。

「脱衣所戻って戻って!体もしっかり拭かないと、風邪ひいちゃうよ?」

「うーん、それは悪い日和。けどAちゃんをあんまり待たせたくなかったからね」

「それでもこんなふうに出てくるのはよくないね。ドライヤーはかけてあげるからしっかり体とか拭いてから服着て出てきてね?」

はーい、と返事した日和君にまるで母親になった気分だった。

体を拭いて、服を着た日和君はこれまた急いで出てきて、ソファに座る私の前にクッションを敷いて座った。

そして私がドライヤーのスイッチをつけて、髪に風を当てて乾かし始めたら嬉しそうに体を左右に揺らしながら自分のソロ曲を歌ってくれる。

「日のあたる場所に会いにおいで♪始めようFantastic days!」

「アイドルの生歌を家できけるなんて、贅沢だなあ」

「うんうん!Aちゃんにはいくらでも聞かせてあげるね!」

ドライヤーの途中だというのにこちらを振り返って笑いかけてくる日和君に私もつい笑みがこぼれる。

「ふふ、前向いててね。あともうちょっとで乾くから」

「わかったね!」