陽の目にも涙【巴日和】 (ページ15)

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スピーカーのボタンを押して、「もしもし?」と言えば日和君は勢いよくこう言い放つ

「Aちゃんと別々で生活するのは絶対に嫌だね!!僕はAちゃんから離れないね!!」

そのまま通話は切れてしまう。

といっても、世に出回ってしまった揉み消すことは厳しいし、辻褄合わせもうまくやって退けるのは至難の業。

「私がアイドルファンっていうのはだめなのか...。」

「ダメなことはないでしょう。けど、異性の芸能人同士のスキャンダルめいたものに敏感な人もいます。ただでさえアナタは結婚公表している割に相手の情報は出さないですし」

よく惚気はするものの、職業名前人柄など誰かと特定できそうな情報は絶対の口に出さないようにしていた。

だからこそ、今回私がEdenのライブにいたことが結婚相手特定の材料となり得ないということ

「まあいざ「巴日和」が旦那ですって言ったら大炎上は避けられないからね」

「伏せていたところで、同じ家に入るところを見られたらそれこそ大炎上です。だからほとぼりが冷めるまで別居を、と思ったのですが...」

日和君が嫌がるのはわかってた。

Edenでは最年長のお兄ちゃんだよ！とメンバーをぎゅうぎゅうと抱きしめるところも見受けるけど、私からしたら歳下だし

根っこから楽観的で傍若無人なように見えても、日和君は繊細な人だ。

おそらく日和君はジュン君のところに住まわせてもらうと思うから、やっていけそうだけど気持ち的に耐えられるのだろうか。

でも、仕方がないか。

「茨君、日和君に寂しくなったらいつでも電話してって言っといて？」

「殿下は否が応でもAさんのところに帰ると思うんですか...」

「大丈夫。マネージャーの家に泊まるから。このこと日和君には秘密だよ？」

たくさんのファンを傷つけるのは、日和君も堪えるだろうし、今は双方のことEdenのことやお互いの事務所のことをを考えたら仕方ない選択だ。

「じゃあ日和君にバレないうちに荷造りするから。帰るね」

「はい、ありがとうございます」

＿＿＿＿

おひいさんは珍しくピリピリしていた。そしてまた珍しいことに茨に怒鳴った。

「Aちゃんはどこにいるのって聞いているんだね！！」

「まあまあ！殿下落ち着いてください！」

「家に帰ったらいないし、Aちゃんが僕のところからいなくなるなんて信じられないね！！」

そして声の大きなおひいさんの怒鳴り声を聞きつけるコズプロ社員もチラホラ

全くこれからどうなるんだろうか