バレンタイン ページ47
かつてこんなにも悩んだことのなかったバレンタインという行事、
考えてみればどちらかというと渡される側、渡すことなんか一度もなかった。
というわけで、
「しげ、ほんまにどうしよ」
どうすればいいのか分からないでいる。
赤「と言われてもなぁ、」
しげは頭をポリポリと搔いたあとふにゃっと笑った。
赤「俺もなんも考えてないねん」
で、ですよね…
放課後の部室で2人で話しあっているけど、一向にいい案が浮かんでこない。
チョコレートについては俺の得意なガトーショコラでええやろと決まったのだが、問題はどう渡すか、プレゼントを付けるか、ということ。
その日が休日なのはとっても有難い事だけれど、その分わざわざ会いに行って渡さなければならない。
何ヶ月経っても俺の恥ずかしがり屋は治らないもので…、りゅうの家まで行って渡しに行くのはどうも気が引けてしまう。
ましてや親御さんやっておるやろうし…
そしてプレゼントについても同じ。
りゅうには今まで沢山の幸せを貰ってきた。
俺ってめんどくさいやつやし、すぐネガティブに考えてしまう。
でもりゅうは毎回それを取っ払って、それ以上の愛をくれる。
物で返すと言う訳ではなく、今までの分りゅうがよろこんでくれるものをプレゼントしたい。
ただそこでもまた問題が、
何が欲しいのか分からないという点。
しげは流星に聞いてみればええやん！
とか言っているけど、できればサプライズにして喜んでもらいたい。
でも聞かないことによって変なプレゼント選んでしまったらどうしよう…とも考えてしまう。
仲良いのんちゃんに聞いてもらうのが可能なのであればして欲しいけど、しげのバレンタインの渡し方にもよるし2人で話し合ってるのがバレたら大変だ。
ほんまにどうしよう……
しげが去っていったあとの部室で座り込む、
必死で考えたせいで少し頭が痛くなってしまった。
ふとりゅうのロッカーを見てみると下にきらきらひかる何かが落ちていた。
落し物かな、そう思い拾ってみると
金の装飾部分が破損しているピアスだった。
うちの高校はピアス禁止では無いからつけてる人も何人かいる、
けどそれは明らかにりゅうのものだった。
テーマパークでデートした時に撮った写真と一緒、見返せばすぐわかる。
丸くそこまで厚みのないピアスホールにフィットするタイプのピアス。
りゅうの1番のお気に入り……
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作者名：ゆき星 | 作成日時：2019年8月1日 22時
