真冬の夜なのに ページ38
緑side
ココアをぐっと飲み干してりゅうについて行くと、りゅうの家から徒歩数分くらいのただの公園について……
『花火やろっか！』
って。
一旦家に帰ってトートバッグ持ってきたと思ったら、中にはカラフルな棒が沢山入った袋。
蝋燭立てるやつやら、空のジュースパックやら
小さい頃と同じ光景にのあのワクワクを思い出す。
真冬の夜なのに夏の風物詩である花火やるとか、
訳が分からないけど、俺の心は子供の時みたいにワクワクしてた。
蝋燭を立ててゆっくりと棒の先を近づけるとぶわっと火花が飛び散った。
綺麗な赤に輝いて噴出する光がやけに綺麗で、やけに気持ちを昂らせた。
青 ｢ともー、その花火の火ちょうだいー」
｢あ、ええよ」
自然と近くなる距離、
俺の火がりゅうの花火にも移って明るさが倍になる。
かっこいいりゅうの顔が照らされて、少し心がどきんっと鳴った。
｢そ、そういやさ……」
青 ｢ん？」
｢なんで花火やったの？」
青｢中学3年の夏、大量に花火買い込んで『夜遊びっぽいことしようぜ！』って調子乗ってたんよ…
残ったのはこの大量の花火だけ、」
冗談を言うように笑っていた。
言葉の最後は笑いがこらえきれなくなったのか、途切れていた。
｢勿体ないからって花火やろうとしたんや」
青 ｢まぁそういうこと。でも真冬にやるんも楽しいかなって」
またえへへ、と緊張のこもってない声で笑う。
そういうところも好きなんやけど、やっぱりどこがネジが抜けているな
｢まぁええわ、今度は夏にやろうな？」
青 ｢…じゃあさ、来年は一緒に隣町の花火大会見に行こうや。
一緒に見て、一緒に花火やろう」
さっきとは違った真剣でまっすぐなセリフ
｢うん、絶対行って見よう。」
まだ先の話なのに、俺らは小さな約束をした。
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作者名：ゆき星 | 作成日時：2019年8月1日 22時
