41話 ページ42
橙side
淳太くんの調子が良くなったら帰ろうと思っていたけど、そうはいかなかった
目を覚ました夜から淳太くんは悪夢にうなされるようになった
最初はびっくりした
俺も寝てたけど、隣から喚くような声
心配になっておでこを撫でたけどとてつもなく熱かった
それからは寝れば悪夢、起きたら熱という無限の苦しいループに入ってしまった
橙｢おかゆだから食べとき｣
黄｢…あ、りがと｣
声がだんだんと掠れて出なくなってる
淳太くんに聞いてみた
どんな悪夢を見てんのか
根本的な原因が分かれば、淳太くんの不安を取り除けるかもしれない
淳太くんは声が出せない代わりにケータイのメモ機能で打ってくれた
最初僕は空を飛んでるの。
だけどすぐ落ちてしまう。
その時は叩き潰されるくらい痛い気分を味わうから辛い。
そしたら1人だけ近くに人が寄ってきてくれるけど、その人はすぐ僕から離れていっちゃう
離れていったら今度は頭をギューッと押されてる感じで痛くなる。
これを見続けてて、いつまでたっても慣れない
気持ち悪くて、起きようとしても自力で起きれないし
こんな悪夢を淳太くんは見てたんや
絶対、辛かったやろうな……
言ったぶん楽になれたりはしたのだろうか？
でもまた今日も悪夢を見るのだろうか
家に帰れる日はくるのだろうか
迫り来る明日にこんなに恐怖を覚えたことは無い
でも今はとにかく淳太くんの療養や。
橙｢飲みもんいるか？｣
うん、と頷いた
もうそろそろ大きいペットボトルの水が無くなる
あと家にある1本
自転車に積んである2本
リュックに入ってる1本
それが無くなったらライフラインが完全に途切れてしまうことになる
考えて使わな…
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作者名：ゆき星 | 作成日時：2019年4月9日 23時
