emote ページ10
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車の中はお互いに無言だった
車が進むたび、見慣れた景色に変わって
私の家の前に着いた
「Aちゃん
もしかして一人暮らし?」
『はい、……』
もう自立しなきゃいけない年だからと、
母に一人暮らしをしたいと話したときに
必死にやめるよう説得してきたことを思い出す
母があんなに必死になるのはきっと、
2年前の事故のせいだと思う。
.
「彼氏はいんの?」
『え、?』
急な質問に驚いて隣を見れば
「いやっ今のは忘れて」
俺にはかんけーねもんなって
目の下を掻きながら少し笑う。
『……彼氏いないですよ、?』
展望台に1人で行くような女だよ?
それもクリスマスイブに
「そうなん、だ」
心なしか田中さんの顔がホッとしたように
見えたのはきっと私の勘違い
車の時計はあと少しで
23時00分になろうとしてた
今日の失態はきっと忘れない。
『私に何かできませんか?』
田中さんが何かを終わらせようとするまで
どんな事があったのか知りたかった
でも、私が踏み込むことじゃないと
必死にその言葉を飲み込んだ。
.
車から降りたときに
また凍えるような風が私を包む
「写真のこと……
思い出せそう?」
助手席の窓を下げて
松村さんから話を聞いたらしい田中さんは
方眉を上げてこちらを見る
『…それは……分かりません』
2年前の今日に私は何をしていたのか。
「そっ、か……
でも、俺のことは忘れないで
ほしいーんだよね」
『……?』
田中さんは困ったように笑いながら
引き留めてごめんねって言うと、
私に早く部屋に戻ることを促す。
お辞儀をして部屋に戻る途中に
振り返って見たテールランプが
ただ遠くなって行くのを
見つめていた。
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椿(プロフ) - ヒヨリさん» ヒヨリさんっ最後までお付き合い頂き本当にありがとうございます!!そう言って頂けて光栄です(TT)次のお話でもお会いできること願っておりますっ…… (2019年9月15日 21時) (レス) id: ae11041bb5 (このIDを非表示/違反報告)
ヒヨリ - 椿さん» めっちゃ面白かったです!!短編集も見させていただけます。 (2019年9月15日 19時) (レス) id: 61e4e164fd (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - ヒヨリさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて本当に幸せです(;-;)ゆっくり更新で申し訳ありません。これからも楽しんでもらえるよう頑張ります!! (2019年8月29日 15時) (レス) id: ae11041bb5 (このIDを非表示/違反報告)
ヒヨリ - めっちゃ面白いです!更新頑張ってください。応援してます。 (2019年8月29日 13時) (レス) id: 61e4e164fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:椿 | 作成日時:2019年8月21日 4時