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ちょっと待ってて?
そう言うと松村さんはどこかに行ってしまった。
途端に静かになるお店。
音楽は、
恋人と永遠を誓うバラードが流れてる。
1人で展望台に来るなんて
可哀想な女だと思われたりしてないかな
なんて、急に不安になってきた
写真の秘密を知りたくてここに来たのに。
でも、ただたんに忘れているだけだったのなら
これから、私はどうしていけばいい?
せっかくこの展望台までこれたのに
曖昧な気持ちで、もやっとしたまま
何も晴れないまま
また1人で年を越して行くんだろうな
.
もうすでにぬるくなったココアを啜っていると
「お待たせしてごめんね」
って松村さんが帰ってきて
その後ろに樹という名前の彼が続く。
暗がりだったから
あんまり分からなかったけど、
男性にしては少し華奢な体格に、
大きな真っ黒の瞳。
そして艶のある落ち着いた髪色。
純粋に、格好いい人だなって思ってた。
『……』
さっきのことがあって少し気まずい
カウンターに座る私の1つ隣を
開けて座った彼は
いつものでって掠れた声で松村さんに伝えていた
.
「ねぇ佐々木さん、
樹があっこから飛び降りるって
思ったんでしょっ?」
無言を切ったのは、
カウンターの奥の松村さんで
『……いやっそれは!』
慌てる私を見て楽しそうに笑ったと思ったら。
「もう樹も助けてもらったんだから
礼ぐらい言えよっ」
ずっと俯いてる彼にそう言うから
え……?
『ほんとに、
終わらせるつもりだったんですかっ……』
何故か分からないけれど
少し声が震えてしまった
「……A、ちゃんだよね」
『………っ?』
「……止めてくれて、ありがとな」
『……い、えっ』
前髪の奥の黒い瞳が少し揺れてる。
また吸い込まれそうになる。
『……っ』
ふわって笑って
彼が私の髪を撫でるから
甘いココアの味。
彼がいつも頼むらしい
ミルクティの匂い。
あぁ……
もうだめかもしれない……
彼に触れられた部分が
熱い。
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椿(プロフ) - ヒヨリさん» ヒヨリさんっ最後までお付き合い頂き本当にありがとうございます!!そう言って頂けて光栄です(TT)次のお話でもお会いできること願っておりますっ…… (2019年9月15日 21時) (レス) id: ae11041bb5 (このIDを非表示/違反報告)
ヒヨリ - 椿さん» めっちゃ面白かったです!!短編集も見させていただけます。 (2019年9月15日 19時) (レス) id: 61e4e164fd (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - ヒヨリさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて本当に幸せです(;-;)ゆっくり更新で申し訳ありません。これからも楽しんでもらえるよう頑張ります!! (2019年8月29日 15時) (レス) id: ae11041bb5 (このIDを非表示/違反報告)
ヒヨリ - めっちゃ面白いです!更新頑張ってください。応援してます。 (2019年8月29日 13時) (レス) id: 61e4e164fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:椿 | 作成日時:2019年8月21日 4時