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『……ここの社長の息子さん、?』
うーん、まぁそんなとこですねって、
少し眉を下げて微笑む松村さんから
差し出された雪だるまの絵が描いてある、
可愛い紙コップを受け取る
ほわほわ甘いカカオの香りが漂うココアを
一口飲むと、
冷えきった身体にじんわりと熱を与えてくれる。
「だから、閉店時刻を過ぎても
こうやってお客さんを呼べるんです」
少し悪戯に歯を見せて笑った彼は、
どこか子犬のようにも見えた。
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松村さんに連れてこられたのは
展望台から2階降りたフロアの一角にある、
少しこじんまりとしたカフェだった。
壁にはレトロな小物が飾られていて、
あたたかい照明も相まってか
いるだけで癒される、そんな場所だった。
松村さんの優しそうな人柄に
よく合ってる気がした。
どこか懐かしい気持ちになる。
お店には小さくクリスマスソングが流れていた。
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「佐々木さんはなんで展望台に……?」
お店のコップを拭きながら、小さなカウンターからこちらにチラッと目を向ける。
『ここの写真を持ってたんです、
でも見に覚えがなくて、それで』
「……写真?」
鞄から取り出した1枚の写真を、
松村さんに手渡す。
じっくり見た後に、なるほどねぇって
吐息混じりに呟いて
そっと私に返してくれた。
「じゃあ、会ったことあるのかもね
俺たち」
いつの間にか敬語が取れていた松村さんの言葉に
胸がトクっと跳ねた気がした。
それが少し怖くなって
『あの、
じゅりって言う方は……?』
いつの間にか居なくなっていた彼の話を
口にしていた。
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椿(プロフ) - ヒヨリさん» ヒヨリさんっ最後までお付き合い頂き本当にありがとうございます!!そう言って頂けて光栄です(TT)次のお話でもお会いできること願っておりますっ…… (2019年9月15日 21時) (レス) id: ae11041bb5 (このIDを非表示/違反報告)
ヒヨリ - 椿さん» めっちゃ面白かったです!!短編集も見させていただけます。 (2019年9月15日 19時) (レス) id: 61e4e164fd (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - ヒヨリさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて本当に幸せです(;-;)ゆっくり更新で申し訳ありません。これからも楽しんでもらえるよう頑張ります!! (2019年8月29日 15時) (レス) id: ae11041bb5 (このIDを非表示/違反報告)
ヒヨリ - めっちゃ面白いです!更新頑張ってください。応援してます。 (2019年8月29日 13時) (レス) id: 61e4e164fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:椿 | 作成日時:2019年8月21日 4時