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etoro ページ6

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ありがとうございますって呟いた彼が、指輪をポケットに直すのを


ゆらゆら揺れる視線のなかで見つめてた。






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そんなとき




「樹〜？」





遠くで聞き覚えのある声が聞こえてきた。




あれは確か……


松村さん？







　
「あぁ、と……

　もう閉店の時間になっちゃいまして」




扉を開けた松村さんは、樹と呼ばれた彼と私を交互に見るなり申し訳なさそうに眉を下げてペコッっとお辞儀する。





奥に立つ時計台は

もう少しで21時を回ろうとしていた。







黙ったままの彼から少し離れて




『すみません……、私帰りますね』





もう１度 彼と、松村さんにお辞儀をして


今度こそ扉に向かって歩いていく。






顔をあげたときに、横目に見えた


俯く彼の横顔に


不覚にも胸が早まってしまう。






たださっきここで会ったばかりなのに



どうしてこんなにも悲しくなるんだろう



どうして、あなたは



そんな悲しそうな顔をしているの、？









もう零れ落ちてしまいそうな涙と、





「あっ、もし良かったら
　
　……カフェに寄っていかれませんか？」







そんな私の足を止めたのは、





意外にも、




閉店時刻を伝えてきた松村さんだった。









「身体冷えてるでしょうし、

　どうぞ温まって行ってください」






戸惑う私に気遣ってか、



そう柔らかく微笑む彼に、



ただゆっくりと頷いていて



お言葉に少し甘えさせてもらうことにした。




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