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R ing. ページ44

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「結婚しよう」




　



胸が張り裂けそうになる




　
ふわって笑った彼の手には、


ひとつの小さな箱


　



　
　

「手、かして？」







少し挙げた震える私の手を引いて


ゆっくりと指輪をはめてくれた



　

キラキラ光るそれは


あの日私が拾ったもの……






ううん。




2年前のあの日、あなたと私２人で幸せを誓った指輪



あなたはどんな想いでこの指輪を持っていてくれたの



　
　
　


『……っお願い、します』






その深い想いに私はこれから答えていけるの？






「……A」






もう一度真剣な目の樹くんと視線がぶつかる




透き通った綺麗な瞳




ゆっくりと唇が開く








「絶対幸せにするから」


 


「Aが俺を忘れたくても忘れられないくらい


毎日愛の言葉100回言うから」





『……ふふ、それは恥ずかしいよ』

　


「そう？うーんじゃあ、1000回で許して」



『もう、それ増えてるからっ』






ふふってお互いに笑い合う。









ねぇ……樹くん






私、今すごく幸せだよ





今まで本当にごめんなさい




あなたを忘れてしまった時間




あなたを傷つけた時間




それはこれからも決して消えることのない時間




悔しくて悲しくて……どうしようもないこの気持ち



乗り越えるにはまだ少し時間がかかるかもしれない


それでも私を待ち続けて、



手を掴んでくれたあなたを



こんなわがままな私だけど




どうか、これから先もずっと



あなたの傍で



あなたの笑顔も涙も全て



抱き締められる距離にいさせてください








　
『ねぇ……樹くん』




んっ、て優しく微笑む彼に




『大好きだよ』




私の精一杯の表現のつもりだったけど

　



「ふはっ、そんなのずっと前から知ってるよ？」

　



そんな意地悪なことを言うから


わざと顔を背けてみる





『……っ』




ふわっと香る樹くんの香り



抱き締められたと悟る




耳にかかる吐息がより一層体温をあげる









「俺は愛してるけどね」





微かにミルクティの甘い香りがして


優しく触れた唇に想う




もう忘れない



忘れたくないって。









この指輪に永遠を誓って……







R   .ー fin.
　

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