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あの後

Aの母親は看護師さんに呼ばれ

よろしくねっと病室を後にした



　

　
　
2人きりの病室。

たくさんの思い出が頭を巡る

　
　
　




「……ごめんね、A」



「俺さ、Aの気持ちちゃんと考えてなかった」



「でも、今度は絶対幸せにするから」



「お願い……起きて？A」


　
　

　

　
あの日と同じように温かい君の手を握って、


静かな部屋でそう呟く
　
　
　
　

「……っ」




やっぱりって思ったときピクッと手が動いた感覚。

　

　



「A、ちゃん？」


　
　
　
　

　

俺の声に目を向けたAと視線が重なる



良かった。


ありがとう。


泣きそうなのをぐっと堪えて笑いかける


　
　
　


なのに、Aは泣き出すから


びっくりして痛い？って聞いたら、必死に首をふるAが愛しくなって立ち寄って髪を撫でた。

　
　
　


ねぇ、何で泣いてんの


その涙は俺のせい？


本当にごめんね

　
　


　
　

　
　


『樹くん』


　
　
　

　
ねぇなんで、


君を幸せにするって


誓ったのに


　
　
　
　


「俺のこと思い出したの？」


　
　
　



ごめんなさいと苦しそうに呟く君の前で

こんなにも

胸が踊ってるんだ
　

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