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「えーこの主人公が、〜」
　
　
　
　

気付けば、

あの海での出来事から

1ヶ月が経ってた


　
　

　
Aが隣にいなくなった2年もの間


俺はどう生きていたのか、不思議と


思い出せない


Aと再開できたあの日々が


かけがえのないものに変わっている




　
　

幸せになって何て、本当は嘘


俺が幸せにするんだろ？


なに言ってんだよって


後悔ばかりが募る



　
呆気なく終わった君との関係は
　

そんなもんだったのかよ？
　
　
　
あー、むしゃくしゃすんな
　
　

全部全部俺のせい


受け止めきれない


バカな自分への怒りが募る

　
　
　
　

　
　

　
　
「せんせー、大丈夫？」

　
　


6限の授業が終わった後、


教卓の荷物を片してたらひとりの生徒に話しかけられる

　
　



「、なんで？」



「なんか、やつれてるもん」



「えっなになに？じゅったん奥さんと上手くいってねぇの？」



「バカか、ラブラブだわ」


　
　


俺の言葉にいつのまにか集まった野次馬達からはやし立てられうるせぇって手でしっしっと追い払う

　
　
　

　
左手の薬指がキラキラ光る



あぁ、もう終わったのに

　

これじゃまるで未練タラタラの女々しい男になってるよ


　
　

　

ある日俺がつけてきた結婚指輪に


なんで？いつから？

信じられないって


授業だというのに質問攻めで群がる生徒を思い出し苦笑い


でも、あんなバカげた嘘もうつく必要もない

　

　
　


「これも、必要ないよな」


　
　
　


やっと仕事を終えて


校舎から駐車場に向かう途中



少し涼しい風が俺を包む





指輪に手をかけたとき

　
　
　
　
　

　



「……っ」


　
　
　
　




震えたポケット

　
　
　
　
　
　


　
画面に写し出された文字は



もう何年も見ていなかった



Aの母親の名前だった
　

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