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「失礼のないようにね？」
　

『もうー分かってるから
　そんな心配しないでっ』


　

お見合い当日。


普段は着ないような春色のドレスに身を包んで支度してると、母からの電話がなった。


遅れないように、迷惑かけないように、礼儀正しくとかたくさん心配されて……

初めてのお見合いに私よりも緊張してるようだった。

　

　
『大丈夫。私、頑張るから』


　
まだ何か言いたそうな母だったけど、頑張ってという言葉を聞いて電話を切った。



電話帳の中にはもう彼の名前はなかった。

　


　
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『……あの、お待たせしてすみません。
　初めまして、佐々木 Aと申します』

　
　
待ち合わせのお店には、お相手のトウマさんが席に着いていた。


私を見て、ぱっと明るくなった顔を見て
優しそうな方だなって思った。



「とてもお綺麗ですね」



恥ずかしそうに目の下を掻くトウマさんが、あの日の田中さんと重なる。



『っいえ、そんなこと……』

　


トウマさんは第一印象で感じた通り、私を楽しませようと話をたくさん振ってくれたり、体調を気にしてくれたり、とても優しい方だった。


きっとこれから彼の良いところをたくさん知って

惹かれていく……はず。

　

　
だからお願い。

もう出てこないで。

お願いだから。

　

　
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お互いに色んなことを聞いたり、話したりして


あっという間に時間が過ぎていってた。


このまま、順調に進んでほしいと願って。
　

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