R .

adiant ページ15

.




いつもと変わらない日常が


こんなにもきらきらして見えるなんて


少し前の私にも教えてあげたいくらい





あれから田中さんとは

何回かデートをした。



そこで知ったことはたくさんある。



年は私の2つ上で、


仕事は高校の教師をしてて、


担当科目は現代文。



誕生日は6月15日で


血液型はB型で、


休みの日は、音楽を聴いたり

松村さんのカフェに行ったり

夏はサーフィンをしたり……



好きな食べ物は

母のお手製のエビフライだったり……



見かけのわりに、

可愛いところもあるんだなーって

そのギャップにまた好きが募っていく



そして、


私といる間も


指輪は外さないことも。


　

　




「北斗とは、高校の友達で……
　あ、これは言ってなかったっけ？」
　


　



今日も迎えに来てくれた田中さんの

車に乗り込む


他愛のない話をして

まだ知らない彼を知れる事が嬉しい






『そうだったんですか？』





だから、あんな親しそうな感じだったんだ

ってあの日のことを思い出して納得する


田中さんにAちゃんって呼ばれると

くすぐったい





「、いいかげん敬語やめない？」


『……、』





田中さんと出会ってから


もう3ヶ月が経とうとしてた


　

なのに、


手を繋ぐことも、

触れたことのない唇も、

近くなったようで、

まだ少し遠く感じるのも


全部、彼の優しさなの？



　


『……ごめんなさい』




「まぁ……

　無理しなくていいんだけどね」





そう困ったように笑う田中さんも


少しチクりと胸が痛むのも、


きっと、素直になれない


私のせいだ。






『……今日はどこに
　連れていってくれるんですか？』




話題を変えるようにそう聞いてみる
　
　
いつもデートは田中さんにまかせてる




「うーん、内緒〜」




その理由は

ただ単純に

田中さんのことをもっと知りたかったから





『……楽しみですっ』






この街も


そろそろ桜が咲き始める頃かなって


窓の外を見つめて思う



　




ずっと田中さんの傍にいられたらいいな


なんて、


そんなことを考えたりした。
　

◯→←◯

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す