Agapanthus (ページ45)

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空想ページ45

･A

家に帰って、ぼーっとソファに座って、そのまま朝を迎えた。

眠たくはない。

昨日、ソクジンさんの部屋でよく寝た……から。

｢……。｣

僕の頭はとうとうおかしくなったみたいだ。

また会いたい、なんて。

ソクジンさんの顔が浮かぶ。

ソクジンさんだけじゃない。

昨日僕を襲ったけど、ジョングクさん、ジミンさん、テヒョンさんも……

"みんなと、また会うんだよ。"

この言葉が頭からこべりついて離れない。

今日は仕事だ。

早く行かないと。

身支度を終えて、地下駐車場に向かう。

大丈夫、普段通り。

何も変わらない一日が始まるだけだ。

mn｢おはよう。なんだか……久しぶり、ね、？｣

｢うん。｣

mn｢……えっと、え、？｣

｢？｣

mn｢髪の毛切った？｣

は？

｢なにいってるの、ずっと……家にいたよ。自分でも切らないし。｣

役作り中なのに勝手に切るわけないじゃないか。

mn｢……ふーん。｣

｢なに？｣

mn｢いいや。さ、シートベルトして。｣

ゆっくりと発進する車。

今日の仕事は確か、ドラマの撮影とお菓子のCMの撮影だったっけ。

mn｢この前倒れたあの会議、色々と事務所で検討して来月あたりに新CMの撮影始まることになったの。｣

｢そうなんだ。｣

mn｢……あの香水、匂いが嫌いってわけじゃないよね？｣

｢うん。むしろ……好きだよ。｣

好きな匂い。

あの人たちを、思い出すことが出来るから。

今日だって……

mn｢その匂いは……｣

｢うん。つけてきた。｣

彼らがそばにいるような気がして、安心するんだ。

撮影現場に着いて、衣装やメイクを終えた僕は台本を読みながら少しの時間ぼうっとセットを眺めていた。

入口近くからスタッフが挨拶する声が聞こえてきて、キャストの誰かが来たんだ、と立ち上がる。

リヨンさんが準備を終えてスタジオ入をしたんだ。

｢おはようございます。｣

ry｢……。｣

え？

無視……？

僕もとことん避けられたもんだ。

もしかして、嫌われてるのかも。

スタッフも多いんだからもうちょっと自分のためにも愛想良くしてくれてもいいのに。

｢ヌナ。｣

ry｢……。｣

さっさと僕に背を向けてどこかに行ってしまうリヨンさんの後ろ姿に声をかける。

ヌナ、って呼ばれてるだなんて思ってもないだろうな。

｢……リヨンヌナ。｣

ry｢……は、？｣

は、って。

｢おはようございます。｣

ry｢……おは、よう。｣

なにムキになっちゃってんだ、僕。