9 期待しても… ページ10
残された私とハウ君。周りの人達もだいぶん減ってきた。
「…A」
「…?どうしたの…」
ハウ君の体に包み込まれる。自分より少し大きな手が、私の体を抱きしめる。
「…はっ…ハウっ、君…!?」
「良かったー…」
耳元でハウ君の声が聞こえる。
「スカル団のボスと戦ってるって聞いて、すっごく心配したよー…」
「あ、の、ハウ…くん…」
心臓が飛び跳ねる。おかげで話が入ってこない。ドキドキと、胸が苦しい。
「わ、私は、大丈夫…だよ…」
「A、怖かったんでしょ?」
…戦い終わっても怖かったの、気がついてたの?
眉を下げて笑うハウ君は、私の頭を撫でる。
「ちょっとは落ち着けたー?」
「…うん…ありがとう…」
何度ハウ君に助けられただろう。そして、何度心臓の鼓動が高鳴っただろう。こんなに近くにハウ君がいる、それが嬉しい。
「…じーちゃん言ってたよね、ポケモンや人に出会うことで人生は面白くなるって……おれー面白いんだけどーそれだけじゃだめなのかなー?」
…ハウ君も悩んでるんだね。深刻そうな顔から、パッと表情が変わる。
「そーだ!これねー、あげるよー!じっとしててー!」
ハウ君に言われた通り、じっとする。髪を触られ、何かを留める。
「…ピン…?」
「うん!ピカチュウのピンだよー。お店で見つけたからあげよーと思ってて忘れてたー!」
ハウ君は頭の後ろに腕を組んで笑う。可愛い、と言葉を口にするハウ君に、私はグッ、と拳を握る。
「ハウ君、は…私以外の子にもそういうのって…言う、の?」
「えー?…Aだけだよー」
…そんなの、期待してしまう。抱きしめられて、可愛いなんて言われて。それで期待しちゃいけないなんて、逆に無理だ。
「ねー!カプの村だっけー?一緒行こー!」
「え?あっ、ちょっ!」
ハウ君は私の腕を引っ張り走り出す。
(…アツアツロトね〜!)
ロトムはニヤニヤと私の顔を見る。何を思ってるか知らないけど、今の私にはそんなこと考える暇などない。今にも胸が張り裂けそう。
「あ!そーだ、ドデカバシ見せてー!」
「う、うん、ポケモンを元気にしてからでもいいかな…?」
私がポケモンセンターを指差すと、ハウ君はそっか、と手を叩きポケモンセンターへ駆け込んでいく。忙しいなぁ…
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アオ - 新しい話ありがとうございます!何だろう、かなりシリアスな感じな筈なのにこのほのぼの感...。ハウ君とヨウ君は癒し系なのかな...?本当にこの2人のやり取りは大好きです! (2019年7月14日 16時) (レス) id: 8667d85b1f (このIDを非表示/違反報告)
なの(プロフ) - わぁあ!更新待ってました…!とても好きな小説なので今か今かと楽しみにしてました!mintoさんの生存確認ともに出来て良かったです!ぜひ体調にお気をつけてこれからも頑張ってください!! (2019年6月30日 22時) (レス) id: 82351da6a8 (このIDを非表示/違反報告)
minto(プロフ) - ユリさん» 大変お待たせ致しました…!応援ありがとうございます! (2019年6月30日 19時) (レス) id: 202178676a (このIDを非表示/違反報告)
ユリ(プロフ) - 続き気になります。更新頑張ってください (2019年6月12日 18時) (レス) id: 2e6c718a02 (このIDを非表示/違反報告)
アオ - もちろんこれからも応援させていただきます! (2019年4月20日 22時) (レス) id: c3f27a3751 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:minto | 作成日時:2017年12月5日 23時