海外に拠点 ページ45
秋が終わって冬がきた。
始業式のあの日から、私と大山さんと高橋さんの仲は最悪で、廊下ですれ違ったらまもなく睨み合いが始まる。
新一に近づかないで、って言われたことも私は全然気にしなくて、今まで通り新一と登下校を一緒にして、学校でも普通に喋ってた。
多分それが気に入らなくて、余計二人を怒らせたんだと思う。
大山さんと高橋さんも、いつも通り嫌がらせを続けてきた。懲りない。
いい加減しつこいし、くだらないし。
私が完全に二人を無視してたら、私の代わりに、新一が何度か二人に直談判したみたい。
だけど大山さんと高橋さんは、新一から話しかけられたことにすっごい嬉しがって、まともに話ができなかったらしい。呆れてたのを覚えてる。
「Aちゃん、この間借りた本、返すね」
「読み終わった？」
「うん、面白かった！」
「よかった！今度新作も持ってくるね」
「ありがとう、楽しみにしてる！」
かわいそう、とか言ってきた遥樹くんは、あの日のことがなかったかのように接してきて、なんだか戸惑った。
でも遥樹くんがあまりにも普通だったから、気にしてる自分がバカみたいに思えてきて、私も忘れることにした。それは、また現実から目を背けてるんだって、気づかずに。
「遥樹くん、中学はこのまま進む？」
「どうだろ、もしかしたら俺、違う中学受験するかもしれないんだよね」
「えっ！ここエスカレーター式なのに！」
「そうなんだけどねー」
「何かあったの？」
「……あのね、まだホントに決まってはないんだけどね」
「……うん」
遥樹くんが声を潜めた。遥樹くんの口に耳を寄せる。
「俺、外国行くかもしれないの」
「……え！」
「うちの父親がね、海外に拠点を置きたいって言ってて」
「海外に拠点？」
「うん。なんかよくわかんないんだけど、海外進出したい、とか言ってらしくて」
「世界？遥樹くんのお父さんって……」
「バイオリン弾いてる」
「バイオリン！」
「そう。日本じゃなくて、海外での公演を増やしたいんだって」
「へー……」
なんというか。
いろいろ衝撃的すぎて、声が出ない。
「もし海外に拠点移したら、遥樹くんもついていくってこと？」
「そういうこと」
「そうなんだ……」
「決まってはない、って言ったけど、親はもう行くつもりだと思う」
「……」
「だから、多分中学は向こうの学校通うかな」
「そっか……」
遥樹くんと一緒にいれるのは、あと少ししかないかもしれないんだ。
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極・吹雪姫 - ちょっとびっくりしたのが、弟の瑞紀（みずき）と私の「ミズキ」が被ったことだわね。 (2019年5月2日 20時) (
レス) id: c4455a25af (このIDを非表示/違反報告)
極・吹雪姫 - ごめんなさい、本当に途中で泣きそうになったわ。「泣く」ですわ。泣いたページ。 (2019年5月2日 20時) (レス) id: c4455a25af (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - こいつらまだ小学生だった…！なんつー濃い恋愛を…！この小説すごく好きです！遥樹くんのちょっとした嫉妬がこぼれて、それを見てとても切なくなる。ヒロインの気持ちはよく理解できるけど、やっぱり遥樹くんがいちばん好きです！ (2019年3月11日 10時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
松野かほ(プロフ) - 遥樹くんの読み方を今初めて知った← (2019年2月13日 15時) (レス) id: 45fd1e6358 (このIDを非表示/違反報告)
みお - この小説好きです！正直言うと新一より遥樹くんの方が好きだったのでくっついて欲しかったなぁって思ってます() (2018年6月8日 19時) (レス) id: 0646f7c2e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みやの | 作成日時：2018年3月1日 22時
