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愛でも憎悪でも ページ28

「でも、Aは平気なのか?」
「嫌がらせされ続けて?」
「そう」
「へいき」
「……」
「って言うわけではないけど、大丈夫」
「……なんで?」
「だって、たった二人よ?私には、和花ちゃんも千花ちゃんも、遥樹くんも蘭ちゃんも、新一もいる」
「……そっか」

新一が安心したみたいに、ふっと笑った。

「それで?新一は結局、何が言いたかったの?」
「ああ……。お前はさ、自分の中に、これ!ってものを持ってるよな」
「えぇ?」
「好きと嫌いと、ああ無関心?の基準がハッキリしてるし」
「うん」
「きっと自分の言いたいことも、言えるだろ?」
「多分……」
「お前は博識だし、俺が知らないことに気づかせてくれる」
「……」
「Aはつまんなくなんて、ないよ」
「……ありがとう」

ああ、なんだか。
大嫌いな自分が、ちょっとだけ、好きになれそう。でも。

「……愛の反対が無関心なら」
「……ん?」
「好きになってもらえないなら、せめて憎まれたい……」
「……A?」
「ねぇ新一、見てもらえないのが、いちばんつらいんだよ」
「え?」
「関心がないって思われるくらいなら、嫌われたい。好きになんてなってもらえなくていい」
「……興味ないって言われるのは、悲しい?」
「そりゃあね。それが愛でも憎悪でもなんでもいい、私を見て欲しい」
「……」

新一の青い瞳が揺れた。
わたし、何言ってるんだろう。

「……そういえば……」
新一が、じっと私を見る。

「お前は最近、泣かなくなったよな」
「……え」
「あんなに泣き虫だったのに」
「……うん」
「何かあったのか?」

新一、意外と私のこと見てる?
泣かなくなったのは、泣かないって決めたから。

「……私たち、もうすぐ中学生だよ?いつまでも泣き虫でいられないでしょ」
「そうか……」

誤魔化した。
新一がうんうんと頷く。
「まあでも、遥樹もいるし、Aなら大丈夫だろ」
「遥樹くん?」
「好きなんだろ?」
「……好きだけど」

新一がいう好きって、どういう意味の好きだろう。

「……好きなんだ……」
「え?なに?」
「いや……なんでも……」
「新一だって、蘭ちゃんのこと好きでしょ?」
「そりゃあ……」

ふと新一と目が合う。
視線が交わった。

……なんか、おかしい。
私たち、前みたいに、言いたいことが伝わってない?
……ううん、そんなはずない。

心に芽生えた違和感。
それは後に、取り返しのつかない亀裂となって、私たちを引き裂く引き金になることを、私はまだ知らない。

約束しよう→←好きの反対は無関心



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極・吹雪姫 - ちょっとびっくりしたのが、弟の瑞紀(みずき)と私の「ミズキ」が被ったことだわね。 (2019年5月2日 20時) (レス) id: c4455a25af (このIDを非表示/違反報告)
極・吹雪姫 - ごめんなさい、本当に途中で泣きそうになったわ。「泣く」ですわ。泣いたページ。 (2019年5月2日 20時) (レス) id: c4455a25af (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - こいつらまだ小学生だった…!なんつー濃い恋愛を…!この小説すごく好きです!遥樹くんのちょっとした嫉妬がこぼれて、それを見てとても切なくなる。ヒロインの気持ちはよく理解できるけど、やっぱり遥樹くんがいちばん好きです! (2019年3月11日 10時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
松野かほ(プロフ) - 遥樹くんの読み方を今初めて知った← (2019年2月13日 15時) (レス) id: 45fd1e6358 (このIDを非表示/違反報告)
みお - この小説好きです!正直言うと新一より遥樹くんの方が好きだったのでくっついて欲しかったなぁって思ってます() (2018年6月8日 19時) (レス) id: 0646f7c2e0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みやの | 作成日時:2018年3月1日 22時

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