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好きの反対は無関心 ページ27

「知ってたよ。先週の水曜日かな?ぶつかられて階段から落ちそうになったとき、遥樹くんが助けてくれたの」
「えっ」

新一が、ぱっと私を見た。

「落ちそうになった?」
「え?うん」
「なんで俺にすぐ言わなかったんだ?」
「落とされそうになったーって?言ったら新一どうした?」
「大山と高橋に……謝らせる……」
「でしょ、だから言いたくなかったの」
「……悪化するからか……」
「そう」

新一がつらそうに目を伏せた。
落ち込んだ犬みたい。

「話戻すけど、私が二人にやめてって言わないのはね、怖いからだけじゃなくて」
「うん」
「相手にするだけ無駄だって思ったからっていうのもあるの」
「無駄?」
「むだ。いちいち相手にしてると面白がるし、時間がもったいない」
「もったいない……」
「そもそもね!嫌がらせなんてくだらないことしてる暇があるなら!勉強するか、本読んでろ!って、私は思うの!」
「は、」

新一がおかしそうに笑った。
「私と新一の仲がいいのは幼馴染だからなんだし、新一と距離を置く必要はないよ、って遥樹くんが言ってくれた」
「また遥樹……」

口を尖らす新一がなんだかおかしい。

「それでね、私が興味ないのは大山さんと高橋さんなんだけど」
「嫌がらせされてるのに興味ない?」
「うん。ねぇ、好きの反対は何だと思う?」
「……嫌い?」
「違うよ、好きの反対は無関心」
「あー……愛の反対は無関心ってやつか」
「そう。マザーテレサの名言って言われてるけど、あれ本当はエリ・ヴィーゼルって人が言ったんだよ」
「へー……」

ああ、また脱線してる。
「嫌いってことは、その人に関心があるってこと」
「ああ……」
「大山さんと高橋さんに関心なんて持ってやらない!」
「はは」
「私は二人に無関心!つまり、興味がないの!」
「なるほど」

二人でくすくす笑う。

「どうせもう少しで卒業だし、反応がつまんない人にいつまでも嫌がらせするほど、あの二人も馬鹿じゃないでしょ」
「お前そんなこと言うやつだっけ?」
「逆に言わないやつだと思ってたの?」
「というか、どんな人でも好きになれるやつだと思ってた」
「え?自分の悪口いう人でも?」
「和解して友達になれそう」
「なれるわけないじゃない。私、そんなに人間できてないよ」
「だよな……」

新一、私の中に幻想見てる。
ふと感じた、小さなズレ。

愛でも憎悪でも→←興味ない人



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極・吹雪姫 - ちょっとびっくりしたのが、弟の瑞紀(みずき)と私の「ミズキ」が被ったことだわね。 (2019年5月2日 20時) (レス) id: c4455a25af (このIDを非表示/違反報告)
極・吹雪姫 - ごめんなさい、本当に途中で泣きそうになったわ。「泣く」ですわ。泣いたページ。 (2019年5月2日 20時) (レス) id: c4455a25af (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - こいつらまだ小学生だった…!なんつー濃い恋愛を…!この小説すごく好きです!遥樹くんのちょっとした嫉妬がこぼれて、それを見てとても切なくなる。ヒロインの気持ちはよく理解できるけど、やっぱり遥樹くんがいちばん好きです! (2019年3月11日 10時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
松野かほ(プロフ) - 遥樹くんの読み方を今初めて知った← (2019年2月13日 15時) (レス) id: 45fd1e6358 (このIDを非表示/違反報告)
みお - この小説好きです!正直言うと新一より遥樹くんの方が好きだったのでくっついて欲しかったなぁって思ってます() (2018年6月8日 19時) (レス) id: 0646f7c2e0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みやの | 作成日時:2018年3月1日 22時

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