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顔がいい ページ24

相手の機嫌を損ねないように。
どうすれば喜んでもらえるのか、何を言うのが正解なのか。
そういうのを、全部考えて、計算して、私は人と関わってる。

たぶんそれは、自分が気に入られたいから。
常に味方をつけて、独りにならないようにするために。

時には自分の本心を隠して、嘘をつくことだって、厭わない?
ああ、なんてつまらない人生。

「……A?」
「……ん?」
「どうした?」
「え?」
「なんか泣きそうだったぞ」
「……気のせいじゃない?」
「……あ、そ」

新一が不満げに口を尖らせた。
むーってなりながら本読んでる。

「……なに怒ってんの?」
「……怒ってない」
「じゃあなんで不機嫌なの?」
「……不機嫌じゃない」
「うそだ」
「うそじゃねーよ」
「皺寄ってるよ」

つん、と新一の額の皺を触る。
ばしっとはらわれる。

つんつん。
ばしっ。

つんつんつん。
ばしっ。

つんつんつんつん。
「……しつけーな!」
「ふふ」
「なんだよ」
「別に?」
「意味わかんねー」

不貞腐れた新一にくすくす笑う。
さらに不機嫌そうに顔を歪めた。

「そんな顔して!せっかくのイケメンが台無し!」
「はあ?」
「千花ちゃんと和花ちゃんが言ってた。新一の顔がいいって」
「顔?」
「うん、顔が好きーって」
「ふーん、顔を好きになられてもなぁ」
「え?」
「つまりそいつらは、俺の外見だけ好きになったわけだろ?」
「そういうことなのかな?」
「中身を見ねーやつは好きじゃねぇ」
「……」

冷たい。
「お前は?」
「へ?」
「Aは思わねーの?」
「新一がイケメンだって?」
「そう」
「私たち、もう12年も一緒にいるんだよ?ずーっと見てきた顔がイケメンかなんて、わかんないよ」
「……なるほど」
「新一も、私の顔がどうかわかんないでしょ?」
「まあ……ああ、でも」

新一がぱっと顔を上げた。

「遥樹とか雄大とかが言ってたぞ」
「ゆうだい……高杉くん?」
「そう」
「なんて?」
「お前のこと可愛いって」
「……ホント?やったぁ」
「確かに、可愛いって言われても、ふーんそうなんだー、って感じだな」
「……でしょ?新一は家族みたいなものだもん。家族の顔なんて毎日見てるのに、いちいちイケメンだなー、なんて見惚れないよね」
「……おう」
「瑞紀のこと可愛いとは思うけど、それは弟としてだし」
「うん」
「あ、でも、蘭ちゃんは美人だと思う」
「……え」

いきなりの蘭ちゃんの話題に、新一が驚いて私を見た。

羨ましい→←好きって言われたら?



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極・吹雪姫 - ちょっとびっくりしたのが、弟の瑞紀(みずき)と私の「ミズキ」が被ったことだわね。 (2019年5月2日 20時) (レス) id: c4455a25af (このIDを非表示/違反報告)
極・吹雪姫 - ごめんなさい、本当に途中で泣きそうになったわ。「泣く」ですわ。泣いたページ。 (2019年5月2日 20時) (レス) id: c4455a25af (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - こいつらまだ小学生だった…!なんつー濃い恋愛を…!この小説すごく好きです!遥樹くんのちょっとした嫉妬がこぼれて、それを見てとても切なくなる。ヒロインの気持ちはよく理解できるけど、やっぱり遥樹くんがいちばん好きです! (2019年3月11日 10時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
松野かほ(プロフ) - 遥樹くんの読み方を今初めて知った← (2019年2月13日 15時) (レス) id: 45fd1e6358 (このIDを非表示/違反報告)
みお - この小説好きです!正直言うと新一より遥樹くんの方が好きだったのでくっついて欲しかったなぁって思ってます() (2018年6月8日 19時) (レス) id: 0646f7c2e0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みやの | 作成日時:2018年3月1日 22時

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