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しゃべってた ページ17

「そうなんだ、頑張ってね!」
「うん!」
「でも、大会っていつやんだ?」
「えっと……確か、冬休み……?」
「冬休みって……まだ初秋だぞ」
「いいじゃない別に!」

もう!と蘭ちゃんが新一に怒る。
パコっ!と頭を叩いた。

「いってーな!何すんだよ!」
「ふん!」
「おい!」

「ちょっと、落ち着いて!」
喧嘩になりそうになって、慌てて止める。

「勝てそう?」
「もちろんよ!優勝してやるわ!」
「すごい!」

自信に満ち溢れてる蘭ちゃん。
夢中になれるって、いいなぁ。

「Aちゃんは?」
「え?」
「ピアノの発表会とか、コンクールとかってないの?」
「うーん……今のところはないかな……」
「そっか、やるときは教えてね!」
「うん……でも私、まだまだ下手くそだから」
「でもおまえ、器用だからすぐ上達するだろ」
「……」

新一の、何気ない一言が嬉しい。
口元がにやけそうになるのをこらえる。

「あ、じゃあ私、こっちだから!また明日ね!」
「うん、バイバイ!」

蘭ちゃんと別れて、新一とふたりきり。

コロコロコロコロ。
リーンリーンリーン。
キリキリキリ。
静かになると聞こえる虫の声。
二人になると流れる沈黙が、なんだか心地いい。

「……なあA」
「……なに?」
「昨日さ」
「うん」
「……遥樹になんか言われた?」
「遥樹くん?なんかって、なに?」
「なんか、いろいろ」
「えー……普通におしゃべりしてただけだけど……」
「おしゃべり?」
「うん。どうして?」
「いや……Aと遥樹、仲良くなってる気がしたから」
「私と遥樹くんが?」
「そう。今までより、よくしゃべってた」
「そうかな……」

言われてみれば、確かに遥樹くんとまともに話したことなんて、あんまりなかった。

「新一が休んだ日かな?私、教室で泣いちゃって」
「え……」
「それで、心配してくれたみたいで、それから仲良くなったのかな」
「……おまえ、泣いたのか?」
「うん」
「へぇ……」
「それがどうかしたの?」
「……いや……」
「新一?」

眉を寄せて、難しい顔してる新一。
なんかへん。

これ以上この話をするのも、なんだかダメな気がして、違う話をする。

「瑞紀が、新一とまた遊びたいって言ってたよ」
「あー……あいつ、なんか生意気になったな」
「呼び捨てにされたこと、根に持ってる?」
「……別に」

根に持ってるんだ。
「ちゃんと言っとく」
「……頼む」
「じゃあ、また明日ね」
「おう。じゃーな」

家に着いて、中に入った。

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極・吹雪姫 - ちょっとびっくりしたのが、弟の瑞紀(みずき)と私の「ミズキ」が被ったことだわね。 (2019年5月2日 20時) (レス) id: c4455a25af (このIDを非表示/違反報告)
極・吹雪姫 - ごめんなさい、本当に途中で泣きそうになったわ。「泣く」ですわ。泣いたページ。 (2019年5月2日 20時) (レス) id: c4455a25af (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - こいつらまだ小学生だった…!なんつー濃い恋愛を…!この小説すごく好きです!遥樹くんのちょっとした嫉妬がこぼれて、それを見てとても切なくなる。ヒロインの気持ちはよく理解できるけど、やっぱり遥樹くんがいちばん好きです! (2019年3月11日 10時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
松野かほ(プロフ) - 遥樹くんの読み方を今初めて知った← (2019年2月13日 15時) (レス) id: 45fd1e6358 (このIDを非表示/違反報告)
みお - この小説好きです!正直言うと新一より遥樹くんの方が好きだったのでくっついて欲しかったなぁって思ってます() (2018年6月8日 19時) (レス) id: 0646f7c2e0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みやの | 作成日時:2018年3月1日 22時

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