＊ ページ11
……あれ。
ここどこ。私は誰。
なんて漫画のようなことはあるわけなく、普通に分かる。
ここは私の家の寝室だし、私は私だ。
ベッドに寝てる。
「うぉあちっ！」
ドアの外からそんな声が聞こえて、一瞬ベッドから出ようと思ったけど、体の節々が痛くて少し足を布団から出しただけで止めた。
想像以上に体に来てる。
……さっきの声の主なんて、このボーっとする頭で考えなくても分かる。
愛しい人の声だ。
でもうぉあちって何？
何かしてる？
「あー……起きてっかな」
そんな独り言がどんどん大きくなる足音と共に聞こえたので、とっさに足を布団の中に直し、目を瞑る。
あぁ、足が痛い。
「……寝てるか」
部長の少しホッとしたような、でも落ち込んだようなそんな声。
気配がこちらに近付いてくる。
「……あーあ、まだ真っ赤じゃん……」
何かをベッドの横に置いて、部長の声が耳元からした。
いい匂い。
もしかして、何か作ってくれた？
あの不器用な部長が？
それだけで……涙が出そう。
「大丈夫か？……大丈夫なワケねーよな」
とんとん、と頭を撫でられる。
気付かなかったけど、冷えピタを貼られてたみたいでそれをペリッと剥がされた。
「あーくそ、代わってやりてぇ。……でも看病させるのもなぁ、可哀想だしな……」
部長の独り言。
きっと私には聞こえてないと思ってるはず。
……なんて可愛い独り言なんだろう。
「あーもう早く元気になれ、な」
そう言って、部長のカサついた唇が私のおでこに触れた。
そのまま、ひんやりとした新しい冷えピタが貼られる。
……部長のキス閉じ込められちゃった。
「どーすっかなこれ……つーかうまいのかこれ……」
隣でずっと聞こえる独り言が可愛くておかしくて、目を開けた。
そっと横目で部長の方を見ると、小さなお茶碗に入ったおそらくお粥を、ふぅふぅ、としながられんげで掬っている。
尖った唇が愛おしい。
「……味しねー……」
ぼそ、とそう呟いたからもう我慢できなくて。
「……翔くん、私それ食べたいな」
そう言うと、部長はバッ！とこちらを見た。
「……起きたのか」
「はい」
「いつから……」
「……今？」
きっと独り言は聞かれたくなかっただろうと嘘をつくと、「ならいいけど」と信じてくれた。
「お粥、作ってくれたんですか」
「……松本に色々聞いて」
「食べたい」
「……味しねーけど」
「あーん」
自分からそう言ってみると、部長は情けない顔をしてれんげを私の口元まで運んでくれた。
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やっち(プロフ) - こんにちは。読ませてもらいました。甘甘翔くん大好物です。大好き (2021年10月30日 16時) (
レス) @page49 id: cc7865b69e (このIDを非表示/違反報告)
cori(プロフ) - emさん» ありがとうございます。私もこんな職場憧れます…！夢が詰まってます笑 また少しずつ戻ってこようと思います。またよろしくお願いします！ (2020年9月15日 5時) (レス) id: d86fdce482 (このIDを非表示/違反報告)
cori(プロフ) - ミントモモさん» ありがとうございます。少しずつですが戻ってくる予定です！またよろしくお願いします！ (2020年9月15日 5時) (レス) id: d86fdce482 (このIDを非表示/違反報告)
cori(プロフ) - かのんさん» ありがとうございます。少しづつですが戻ってこようと思います！また、他の作品も読んでいただけると嬉しいです(^^) (2020年9月15日 5時) (レス) id: d86fdce482 (このIDを非表示/違反報告)
まよゆり(プロフ) - 懐かしい面々が出てきて、楽しかった。ニノのスーツの値段！あの数字だけが、探せなかったあの時…笑。お、おう、と押され気味に返事するニノ。マキちゃんらしいプロポーズ。可愛い2人。短編ゆっくり待ってるね。 (2020年8月31日 20時) (レス) id: cd6d41f823 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：cori
| 作成日時：2019年9月7日 18時
