好きな人は彼女持ち。１【ダイヤのA】

47 ページ48

.


御幸


次の日、俺と結菜が別れたのはもう噂になっていて。

大体、出所の検討はつくが……


クラスの奴らからの視線は冷たいもので、どうやら俺が悪者になってるみたいだな。


朝から男に囲まれている結菜を見るのが辛く、考えないようスコアブックを見て気にしないふりをした。

同じクラスだと結構こたえるな…


昨日は結局一睡もできなくて、何だか頭の回転も遅いような気がする。


「お前、顔色悪いぞ」


倉持にも調子が悪いのを指摘されたが、我慢して授業を受け続けた。

これで保健室に行って休んだりしたらいい笑い者だ。



だけど、流石に体がきつくなってきて昼休みに男子便所の個室の中に座り壁にもたれかかった。

情けねーが、教室でこんな姿晒したくねえーよな


昨日、雨の中にいたからか何だか寒気もしてきて、踏んだり蹴ったりだなと苦笑いが溢れた。



「御幸の奴、二股とかやべーよな」


少しウトウトしかけていると、同じクラスの奴の聞き捨てならない言葉が聞こえてきて目が覚める。


「実はさ、それ違うらしいぜ？俺、本当のこと麻耶から聞いたんだけどよ」


麻耶とは結菜と仲の良い友達の一人だ。

確か中学から一緒でいつも行動を共にしている。

声の主は麻耶の彼氏の坪井だな。



「え！なんだよ？すげー気になる」

「実はなーー……」バンッ


そいつが喋り出す前に個室の扉を開けて、便器の前に立っている二人に笑いかける。



「その話、すげー俺も気になる」


.

48→←46

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す