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「でも…」
「病人ほっとく程、俺も薄情じゃねーよ」
そう言い、早く来いよ。と傘を広げて手招きをする。
それを見て胸がキュッとなる。
私が今こんな状態だから優しくしてくれてるだけで、別に特別な感情なんてきっとない。
それでも嬉しくて同じ傘の中に入る。
熱があってしんどかったはずなのに、嬉しさで忘れてしまいそうだ。
浅村先輩はいつもこんな感じなのかな…いいな
「ちゃんと入れ。悪化すんぞ」
「すみません…」
すぐ横には大好きな御幸先輩がいてーー
心臓の鼓動も煩いし、顔は熱いし、意識し過ぎてしまって上手く呼吸ができなくなりそう。
「ほんと苦しそうだな。大丈夫か?」
「全然大丈夫です…!」
御幸先輩と一緒だからです。なんて言えない。
こんなチャンス滅多にないから色々話したいのに、中々言葉が浮かばない。
彼女との事なんて絶対にきけないし、寧ろききたくなんてないんだけど…
学校からだいたい二十分で家まで着いてしまう。
この日ばっかりは一時間くらいかかってもいいのになんて思ってしまった。
「そういえば、倉持と付き合ってんだって?」
突然の御幸先輩の言葉に驚いて、思わずその場で立ち止まる。
「いやいや!!!!!付き合ってないです…!それ誤解で、ほんとに付き合ってないですから!!」
「はっはっは。必死に否定しすぎだろ」
否定するよ、だって一番誤解されたくない人だもん。
面白そうに話している姿を見て、やっぱり私のことなんて眼中にないんだと思い知らされる。
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HIKARU(プロフ) - 蝶乱さん» コメントありがとうございます^^ 頑張ります!! (2020年3月5日 17時) (レス) id: e2128e8a6d (このIDを非表示/違反報告)
蝶乱(プロフ) - はじめまして!全然読みにくくなんてありません!むしろ面白くてめちゃくちゃ更新を楽しみにしおります!第2目も頑張ってください (2020年3月5日 12時) (レス) id: f2a4c0900f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:HIKARU | 作成日時:2020年3月1日 13時