【小説】ゴミのような、二個目の僕らの世界。【本編】

55_天雪 彩芽【世界を愛したい】 ページ8

この部屋には、静寂という言葉が一番似合うだろう。私以外……いや私とリーベ以外は誰も居ない部屋。そこで私はただ破れたリーベの服を直していた。

「……外が騒がしい。でも、何も知らない私が行って、行ったら……迷惑になるかしら」

いわゆる、「ぼっちの悩み」と言うやつだ。下手に出しゃばって迷惑掛けたくないし、気になるけどここに留まろう。

「あっ」

考え事をしていたせいで、指に針が刺さる。もっとも、血が出るほどでは無いのだけれども。それでも痛いものは痛いので、一度裁縫を止めて背伸びをする。同時に、腹がなった。

「あっ、パンのストックがもう無い……」

多くの子供は揃ってご飯を食べるようだが、私は行くことがない。ここに来てから、ずっと。
食の準備は人並にできる。それに、他の人もこの時間帯には居ないだろう。と、言うことで、静かに台所へ向かった。

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