74_如月霞【世界を変えたかった】 ページ30
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「失礼する。巡回と物資の支給だ」
部屋が静まり返る。
「衣類、学用品…。何か他に必要なものがあれば報告するように。
何か変わったことは?隠し事などはしない方がいい………人でなくても、監視はできるのだから」
ちら、と監視カメラに視線を向けた。
何年も前に設置されたカメラだ。交換の話も出たが、結局変わることはないままの。
そんなことに人件費など使えない、というのが上の判断だろう。
ここは、正真正銘のゴミ置き場だ。
ゴミに厳重な管理も、膨大な費用も、必要ない。
「……無駄な動きはしないように。怪しい動きをすれば、その時は」
いや、言わなくていいか。
手折られた言葉の続きを求むように、こちらを静かに睨む彼らに俺も視線を返す。
「……なあ、質問なんやけど。監視員の目的はなんなん?内通者の目的は……まあ、教えてくれるわけないんやろうけど」
1人の声が静寂を破る。
__『世界で一番強くなりたい』。
成程、怪しまれないための索か。
「我々の仕事は監視であり、それ以外に目的など無い。……どこの誰が機密情報を貴様らに漏らしてくれたのかは存じ上げないが、内通者は、監視を効率的に行うための者だ。
内通者の存在がお気に召さないのであれば、監視員の派遣を24時間体制にしてくれと掛け合っても構わないが?」
「いやいや、そんなん勘弁やわ……こんなんが毎日ずっとおると思ったら、気も抜けへんし。なあ?」
こんなん……………悪かったな、こんなんで。
でかかった言葉を飲み込んでひとまず息を着く。
「……警戒するのは構わないが、残念ながら巡回を終えるまでは俺は帰れない。“君たち”に危害を加える意味も、メリットもない。俺がいようと自由に行動してくれて構わない。……以上だ」
もう一度、小さく息を吐く。
__彼らからも、緊張感が抜けた気配がした。
「ところで昨日あれが壊れたんだけど」
「またか…!備品は壊すなと、あれほど…いや、君に怒ってるわけじゃない。案内してくれないか……って、違う、誰が壊したんだ。怒らないから名乗り出ろ」
「絶対怒るよあれ」「怒らないって言って怒らなかったこと、あった?」「ないな」
「ええい、正直に名乗り出た者、または申告してきた奴には値の張る菓子を差し入れてやる!吐け!」
緊張感は解け、部屋にはクスクスと小さく笑いが広がった。
……やっぱりこの仕事向いてないな、と本日何度目かも分からないため息をついた。
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ニャ助(プロフ) - 更新しました。こんなに短くてすみません(><) (2020年5月4日 11時) (レス) id: 636a33148d (このIDを非表示/違反報告)
ニャ助(プロフ) - お久しぶりです!最近更新出来ずすみません…!更新してきます! (2020年5月4日 10時) (レス) id: 636a33148d (このIDを非表示/違反報告)
(=゚ω゚=)にゃあ - 更新しました。 (2020年3月23日 15時) (レス) id: 91777e8ddd (このIDを非表示/違反報告)
(=゚ω゚=)にゃあ - 更新します。 (2020年3月23日 14時) (レス) id: 91777e8ddd (このIDを非表示/違反報告)
春雨(プロフ) - 更新しました!オズはまだ行く先決まってないので、使って話を進めてもらって構いません! (2020年3月21日 23時) (レス) id: 55d503be78 (このIDを非表示/違反報告)
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