71_傘村折心【世界で救われたい】 ページ26
「零くーん?」声を掛けながら、ドアをトントンとノックする。
可笑しいなぁ。もしかして、まだ体調が悪い?
どうしていいか分からなくなって、戸惑いつつもドアノブを捻る。
すると、鍵は掛かってないみたいで、開いてるなら先に確かめとけば良かった、なんて思いながらドアを開けた。
「零くん、入るよ?」
そう言ってから部屋に入り、ドアを閉める。その間には既に、何故返事が返ってこなかったのかが分かった。
「零くん、起きて」
すやすやと寝息をたてている零くんの身体を揺する。すると、ようやく瞼が開き、赤眼がオズの顔を見つめた。
「ん…あれ、オズ?」
「やあ、零くん。ごめんね、勝手に入ってきちゃって」
てへぺろ、と舌を出すと「いや、別にいいけど、それ何か腹立つ」等と呆れの混ざった声色で言われる。
「それで、何の用?」
「ん、これ」
左手を差し出す。そこには、パンの入った袋が握られている。
「明日の朝食のお届けです。あと、明日は、朝の間はリビングに来ちゃダメだってさ」
そう言うと、零くんは首を傾げた。
「え?何かあったの?」
「さあ?何時もの事ながら、そこまでは。…あ、そういえばなんだけど」
急に話を変えてしまって申し訳ない、と思いつつも、聞かずにはいられなかった。
「倒れたんでしょ?大丈夫?」
「あー、その事?平気だよ」
「…いや、聞き方が悪かったや。そうじゃなくて、倒れた原因って昼食の時に言ってた、"零ちゃん"の人格が消えかけてる、とかおかしくなりかけてる、とかそういう関連?」
その事はじきに分かるよ、と言われていたけど…やっぱり気になるんだよね。
「ああ、それは…関係ないと思うけど。でも、どうだろ?分かんない」
彼女の様子を見て、思わずため息が溢れる。
…白々しいなぁ。見れば分かるんだから。本当は関係あるのかどうか、分かってるくせに。
「まあいっか。ところで零くん、もう一つ聞いていい?」
自分の中でそう割りきってから、声を発する。
すると「いいけど」と返答が返ってきたので、再び口を開く。
「今更なんだけど、キミって女の子なの?」
「……はっ?」
途端に、何を言っているのか分からない、とでも言いたげな表情をされる。
「いやぁ…夕食の時にさ、紅くんと話してる時に言われて」
「いや、えぇ…?まさか本当に分かっていなかったとは」
再び呆れ果てたような視線を向けられ、苦笑いを浮かべる。
…まあ、用事も済んだし、お風呂にでも入ってこようか。
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ニャ助(プロフ) - 更新しました。こんなに短くてすみません(><) (2020年5月4日 11時) (レス) id: 636a33148d (このIDを非表示/違反報告)
ニャ助(プロフ) - お久しぶりです!最近更新出来ずすみません…!更新してきます! (2020年5月4日 10時) (レス) id: 636a33148d (このIDを非表示/違反報告)
(=゚ω゚=)にゃあ - 更新しました。 (2020年3月23日 15時) (レス) id: 91777e8ddd (このIDを非表示/違反報告)
(=゚ω゚=)にゃあ - 更新します。 (2020年3月23日 14時) (レス) id: 91777e8ddd (このIDを非表示/違反報告)
春雨(プロフ) - 更新しました!オズはまだ行く先決まってないので、使って話を進めてもらって構いません! (2020年3月21日 23時) (レス) id: 55d503be78 (このIDを非表示/違反報告)
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