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鬼舞辻の名 ページ10

「今日は、美しき空が広がっていますね…」


鈴の鳴るような美しい声音がしんとした静かな部屋に響く。


「明日の月は、綺麗なんでしょうねぇ…」


琴鬼が、上を向いて言った。

布越しのその瞳には、何が映っているのだろうか。


「明日の月は綺麗ですよ。」


高い一本下駄を履いた彼女は言う。


「あぁ、あなたの紅を差し出してくれるというのね」


その紅い唇から鈴の音を鳴らし、三日月のようにその唇を綺麗に歪めた。

そんな様をひどく冷めた瞳で見つめる黒服の男女。


「なんで明日の月が綺麗なのか。
それはね」



「「お前が月になるから」」



四つの冷たく鋭い眼光が鬼を貫く。



「お前たち!」



鬼がそう叫び、琴を掻き鳴らした瞬間空間が歪み、
襖から雑魚鬼たちが一斉に飛び出してくる。



「僕はこっち」

「了」


二言交わすと二人は駆け出した。

一人は降り注ぐ鬼へ、一人は琴鬼へむけて、刀を抜いた。




「霞の呼吸 陸ノ型 月の霞消」

「機関の呼吸 壱ノ型 噛み合わせ」




一瞬にして、その場に居た小鬼は崩れ去る。

琴鬼は押しつぶされたような断面のはなれた胴体を見て悔しそうに歯を鳴らす。



「むざん、さま」



最期に、ポツリと残した言葉は、鬼舞辻の名だった。

彼女は、それほど鬼舞辻を想っていたのだろう。


さらさらと崩れる音はひどく悲しい音がした。

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作者名:Ro:A | 作成日時:2019年9月23日 3時

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