第23話 来客 ページ25
「失礼。ドワーフの方々とAさんを捜しているのですが、どちらにおられますか?」
両脚が欠損している黒豹の少年を、若干疲れ顔で背負う大山猫の青年が、俺を見かけるなり、名指しでそう尋ねてきた。
「今の時間なら食堂にいるだろう。ついて来るといい」
「ありがとうございます。嗚呼。私は、リアムと申します」
「初めまして。ノワールです」
人懐こい笑顔で挨拶してくる少年に釣られ、俺も自然に笑みがこぼれる。
「俺は、
「いえ。私は大丈夫ですから」
「リアムさん。ずっと僕を抱えるの疲れたでしょう? 休んでて欲しいんです。ベニマルさん、お願いします」
「ああ」
少年を抱え上げ、食堂に三人で赴くと、時間が遅かったため人が
「A。お前の客だ」
「あたしにですか?」
珍しく目を丸くし、ゴブイチに一言断って食堂に出てきた。そして、リアムが何故か涙目で開口一番こう言う。
「アニータに聞いた。…生きていてくれたんだな。ツムギさんの子孫が」
「……?」
目元を押さえる彼を見て、俺が抱えている少年が、突然落ち着いた声音で告げる。
「ベニマルさん。申し訳ないが、椅子の上に下ろして頂きたい」
「え? ああ」
言われた通りに実行すれば、背筋を伸ばし、あどけない表情から凛々しい顔立ちへと変化する。そして、上半身を腰からすっと折り曲げて、姿勢を真っ直ぐ保ったまま軽く拳を作った手を
「ツムギさんの子孫である貴女に告白します。私はアキラの子孫、ノワール。そして、彼はツムギの叔父、オサムの子孫です」
姿勢を起こしながら苦笑する少年に、Aの涙腺が緩みかけるが我慢する。
「ノワール。抱き締めてやろう」
「はい」
ひょいと抱えてから向きを変え、後ろから抱える体勢になる。Aは笑みを満面に浮かべ、端から見ている俺達も笑顔になった。喜びを噛み締めた後に、リアムが遠慮がちにカイジン達各職人に向けて進言する。
「カイジン殿とお見受け致します。どうか、……どうか、ノワールの義足を作って頂けないでしょうか?」
だが、当の鍛冶職人は眉間にシワを寄せ、腑に落ちない顔をした。
「
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竜胆(プロフ) - 200回の投票を頂き、ありがとうございます。 (2023年3月8日 19時) (レス) id: 2d2249a2d0 (このIDを非表示/違反報告)
竜胆(プロフ) - お気に入りに入れて下さる方が、再び400人に到達! ありがとうございます。更新できるように頑張ります。 (2020年2月2日 21時) (レス) id: ce36bc58b0 (このIDを非表示/違反報告)
竜胆(プロフ) - 瑠亜@影月さん» 瑠亜@影月さん、コメントと応援ありがとうございます。心変わりしてしまうほどとは(笑)もう話が一杯になったので、ただいま続編に向けて考案中です。更新できるよう頑張ります! (2019年5月13日 1時) (レス) id: ce36bc58b0 (このIDを非表示/違反報告)
瑠亜@影月 - 私はソウエイが推しキャラだったんですが、若様に心変わりしてしまいそうです(笑)これも竜胆さんの文才の力ですね!これからも更新頑張ってください! (2019年5月12日 21時) (レス) id: 9b9cc1c6b7 (このIDを非表示/違反報告)
竜胆(プロフ) - 紫癸さん» 紫癸さん、コメントと応援ありがとうございます。お褒めの言葉も重ねて感謝します。ただいまコミック版最新話の展開を待機している状態なので、もうしばらくお待ち下さい。必ず更新します。 (2019年4月11日 22時) (レス) id: ce36bc58b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:竜胆 | 作成日時:2018年12月1日 1時