過去編1 ページ39
目を開けると杉元が歩いてくる
顔に傷がなくとも杉元だってわかった
そうだ
これは過去の記憶
杉元「お疲れ」
『ああ、お疲れ様』
隣に座った杉元の目の下には隈が濃く刻まれている
杉元「ちゃんと眠れてる?隈凄いよ」
『…杉元こそ』
僕は自分の頭をじゃりじゃりと撫でる
『この靴、結構蒸れるな』
杉元「もう慣れたもんだぜ」
ぱっと隣を見ると昨日まで一緒に飯を食っていた仲間の
腸が飛び散っている
別にそれをみて吐きそうなんて思わない
寧ろ食料が限られているこの戦場では
美味そうな肉にすら見える
僕は自分の頬を叩き我に返る
杉元「?眠いんだろ、少し寝ろよ。俺が見てるから」
『……悪い、肩貸してくれ』
杉元の肩に寄りかかって目を閉じる
遠くの方で聞こえる銃声
『杉元』
杉元「なに?」
『君は死なない、死なせない』
杉元「どうしたの急に」
『……杉元は僕の前から消えさせない』
杉元「当たり前だよ、Aを一人にはしない」
肩を回して頭に手を置いてくれる杉元
『……』
10分くらいか
休んだ所でロシア側に動きがあった
聯隊長が叫び指示を出す
堀にいた兵士たちに緊張が走った
僕も小銃の遊底を引いて堀から顔を出す
杉元も同様に準備している
小銃の先に銃剣をつけている
『……また特攻するのか』
杉元「ん?うん…俺はAみたいに撃てないし」
『……』
杉元「Aが援護してくれるから安心して突っ込める」
『……』
少しだけ口角を上げた杉元
「突撃ー!」
「おおー!」
後ろから僕も堀から出た
少し前を走る杉元
正直軍の勝利とか、仲間が死のうが
僕には関係ない
守るのは杉元だけ
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作者名:八咫烏 | 作成日時:2022年4月21日 14時