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．
「え」
驚く間もなく平野くんは走り出す。
視界には青空と、平野くんの真剣な顔。
「ひら」
「喋ると舌噛むぞ」
初めてのシチュエーションに戸惑って声をかけようとすると、平野くんは真っ直ぐ前を向いたまま私の言葉を遮る。
するとあっという間にスピードは緩み、一着赤組、と放送が入った。
「下ろすよ」
「あ、うん……」
ゆっくりと下ろされ、地面に足がつく。
慣れない浮遊感からは思ったより早く解放された。
私は平野くんに持たれていただけで、走った平野くんは息切れ一つしていないのに、私の心臓は運動した後みたいにバクバクいっている。
「か、係！」
「え？」
「戻んなきゃ。次始められないから！」
それだけ言って逃げるように平野くんの元から他の係のところに走って戻る。
定位置についても、隣の係からの視線が痛い。
多分顔が赤いのは、こんなにドキドキしてるのは、初めてあんなことされたからだ。しかも大勢の前で。急に。そりゃあ驚くよ。
所謂お姫さま抱っこってやつだ。
平野くん、やんわり断ったのに全然気付かないどころかあんなことを。どこまで抜けてるんだ。
どんなお題だったんだろう。聞きそびれちゃったな。きっと放送されたんだろうけどそんなこと聞いている余裕なかった。
いつのまにか永瀬くんと女の子のことなんて頭から飛んでいた。
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結愛(プロフ) - 突然すみません。以前他の方の小説を書かれていませんでしたか...？久しぶりに来てみたら大好きだった作品がなくなってしまっていて、頼さんをお気に入り登録していたのでもしかしたらと思いまして...。人違いやご不快に思われたらすみません。 (2020年7月23日 3時) (
レス) id: 515c739cb3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：頼 | 作成日時：2019年10月4日 23時
