ティナと逮捕 ページ13
「……まあ僕でも君は殴れない。仕方ないよ」
「マスター誰だって殴れないじゃない。しかもそれ、子供みたいだからって事でしょ?」
「いやその……タフには見えないって事だよ」
何だかうやむやに言い訳され、メラはじとりとニュートを見上げる。彼のポケットからかさかさとお菓子の包み紙の音がし始めたので、彼女は先手を打って首を横に振った。
「途方に暮れた」──そんな表現がぴったりのマグル逃亡に、暫し二人は解決策を考え───すぐに諦める。
悪い人では無さそうだったし、彼だって命からがらの巻き込み事故なんてすぐに忘れたいに違いない。多分大丈夫。
お互いに頷きあい、微妙な笑みを浮かべあって何事も無く目的地に歩き出した。───いや、正確には
すれ違うようにこちらに向かってくる女性に見覚えがある。メラの鼻腔を掠める優しいソープの香りと
「───マスタード?」
どうして と言葉に出す前に、女性はニュートとメラの腕を両手で掴んで「姿くらまし」に巻き込んだ。
◆◇◆
パチン!
耳元で弾けた音にメラの視界は一度回る。狭く圧迫感のある横丁の何処か。今度は冷えたレンガが顔にぶつかって、ニュートの魔法の気遣いを知った。こんなに強引な「姿現し」は始めてだ。
優しかった女性の顔は見るからに険しく、杖を手に持つ手は魔女だと雄弁に語る。
「あなた達いったい何者なの?」
「……え?」
「あなたとその子は誰なの?」
「ニュート・スキャマンダー。彼女はメラ……」
「メラよ。あなたは?」
家名は身元に直接繋がる。「スキャマンダー」に反応がなかった辺り何とかなるかもしれないが……メラにとっての一番危ない橋はまさに「身元が割れること」だった。
幸い、強引に打ち切り名前だけ名乗っても咎められる事はなかった。代わりとばかりにこちらの質問も無視されたが。
───カバンの中身は?
───逃がしたのはわざとじゃない。
押し問答になりそうだった尋問は、彼女の「連行」の一言で一発負けの気配を見せる。
白頭鷲のシンボルが刻まれた身分証明証。「ポーペンティナ・ゴールドスタイン」の名前の上には実物と同じく動く彼女が白黒で収まっていた。
これは、ああ何て分の悪い。
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みかこ(プロフ) - るとさん!読んでくれてありがとう(涙)やっちゃった……こう言うのは勢いだよね((ジェイコブさん良いよね!めっちゃええ人……(尊い)むらむら更新だと思うけどのんびり頑張るね(゜∇^d)本当にありがとう! (2018年12月19日 8時) (レス) id: 243d49e4e1 (このIDを非表示/違反報告)
木兎宮ると(プロフ) - おお!ついに公開したのだねっ!!(歓喜)ニュートも好きだけど、ジェイコブさんが本当に好き(尊い)ので沢山出しておくれ…(願望)無理せずに更新頑張ってd( ̄  ̄) (2018年12月18日 19時) (レス) id: 68f0c4b0f7 (このIDを非表示/違反報告)
みかこ(プロフ) - 衛さん» わああ衛さんまで駆け付けてくださって……感謝の言葉が見つかりません嬉しいです(つД`)ジェイコブさんも大好きなので絡ませて行きたい……ゆるっと頑張りたいと思っておりますので気力続く限りお付き合い頂ければ幸いです(涙) (2018年12月17日 0時) (レス) id: 243d49e4e1 (このIDを非表示/違反報告)
みかこ(プロフ) - アイカ@低浮上さん» イメログからありがとうございます!何だか絵だけじゃ物足りない気がし始めてしまって……あれよあれよと勢いで公開してしまいました汗お褒めの言葉までありがとうございます!精進します( ;∀;) (2018年12月17日 0時) (レス) id: 243d49e4e1 (このIDを非表示/違反報告)
みかこ(プロフ) - アバンギャルド・マボさん» マボ様に読んで頂けたなんて幸いです(涙)そして恐縮でございます汗応援ありがとうございます!自分なりに頑張ります( ´∀`) (2018年12月17日 0時) (レス) id: 243d49e4e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みかこ | 作成日時:2018年12月16日 20時