捜索とマグル ページ11
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「───
指も通らないような隙間から体を捩じ込んでいったニフラーを捕まえるべく、杖を向けられた金庫の扉。ニュートの呪文に合わせてぐるぐると重々しい錠は回り、鋼鉄の箱はあっという間に黄金の中身を晒した。
ふと。この金庫を守るべき人なのだろうか。通りすがりの恰幅の良いおじさんが、此方の様子に気付いて声を上げた。
「ああ、それじゃ、金庫の金を盗もうっていうのか!?そんなガキまで連れて?良い度胸だな!」
「なン……ガキじゃないわ!」
メラが反射で怒鳴り返したと同時、非常ベルが其処らで鳴り響く。
「ガキ」なんて言葉は普通の子供扱いより好きじゃない。
「──メラ」
「ええ」
ニュートの合図を受け、メラは大きく息を吸う。けたたましいベルの合間を切り裂く咆哮。空気を震わせた獣の声は、コインの山を大きく揺らし──崩れる手前でピタリと止めた。
防衛本能。大体の動物は、ドラゴンに近いこの声で一瞬は動きを止める。やんちゃなニフラーも例に漏れず、コインの山のてっぺんで固まっていた。
「……居たわマスター」
「まったく、もう!?」
だめだよ、と。
捕まえたニフラーを逆さにして金を振り出しながら、彼は怒るに怒れて居ない。仕舞いには笑いながら擽り始め、メラは頭を抱える。
「マスター、ちゃんと怒って!反省してないわよこの子!」
「ふふ、まるでママだね君」
「マッ……ッち、茶化さないで!───え、なあにおじさま?」
一気に顔を真っ赤に茹で上げた彼女と対称的に、男の顔は真っ青だった。あれ、あれと必死に指を指す先には、武装した警備員達が一気に駆け下りてくる光景が広がる。
向けられたのは金属の筒。
マグルの武器だったと思うけれど、あれは破裂するんだっけ、それとも投げるのだっけ。
どちらにせよマスターの盾に成ろう、とメラが前に出た瞬間、ニュートがまたもや彼女をコートの中に押し込んで仕舞う。
「まずい……違うんだ……待って……撃たないで!」
───ああ、あれ撃つのね。
どうでも良いことが頭を掠めた瞬間。ぐるんと視界はまた回転して、彼等はあっという間に横丁に立っていた。
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みかこ(プロフ) - るとさん!読んでくれてありがとう(涙)やっちゃった……こう言うのは勢いだよね((ジェイコブさん良いよね!めっちゃええ人……(尊い)むらむら更新だと思うけどのんびり頑張るね(゜∇^d)本当にありがとう! (2018年12月19日 8時) (レス) id: 243d49e4e1 (このIDを非表示/違反報告)
木兎宮ると(プロフ) - おお!ついに公開したのだねっ!!(歓喜)ニュートも好きだけど、ジェイコブさんが本当に好き(尊い)ので沢山出しておくれ…(願望)無理せずに更新頑張ってd( ̄  ̄) (2018年12月18日 19時) (レス) id: 68f0c4b0f7 (このIDを非表示/違反報告)
みかこ(プロフ) - 衛さん» わああ衛さんまで駆け付けてくださって……感謝の言葉が見つかりません嬉しいです(つД`)ジェイコブさんも大好きなので絡ませて行きたい……ゆるっと頑張りたいと思っておりますので気力続く限りお付き合い頂ければ幸いです(涙) (2018年12月17日 0時) (レス) id: 243d49e4e1 (このIDを非表示/違反報告)
みかこ(プロフ) - アイカ@低浮上さん» イメログからありがとうございます!何だか絵だけじゃ物足りない気がし始めてしまって……あれよあれよと勢いで公開してしまいました汗お褒めの言葉までありがとうございます!精進します( ;∀;) (2018年12月17日 0時) (レス) id: 243d49e4e1 (このIDを非表示/違反報告)
みかこ(プロフ) - アバンギャルド・マボさん» マボ様に読んで頂けたなんて幸いです(涙)そして恐縮でございます汗応援ありがとうございます!自分なりに頑張ります( ´∀`) (2018年12月17日 0時) (レス) id: 243d49e4e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みかこ | 作成日時:2018年12月16日 20時