Ep.135 一貫性のある行動 ページ35
このタイミングでとなれば、さすがに良い予感はしなかった。僅かばかりの緊張を感じながら非通知の着信に応答する。
「……」
電話相手の声に耳を傾ける。
「まあ……なんとか。……はい、了解」
会話はものの十秒程度で終わった。
通話が終わったタイミングでコナンが気付き、こちらへ駆け寄ってくる。
「ねえ……今の電話、誰?」
「ジン」
「なッ……!?」
「父さんが組織に報告したみたいだね。この件は私がやったことになってた」
「……こっちから連絡は取れないのか?」
「ボック以外との連絡はいつも一方的だから」
私がそう言うと彼は黙り込んだ。また何か考えている。
「で、私のアリバイは証明できそう?」
「いや、まだちょっと……って自分のことなんだからオメーもなんとか努力くらいしろよ」
「偽装なら努力するけど……」
「それが必要なのはマジでやっちまった時だろ!」
「……本気でそう思ってくれてたんだ」
「そりゃ、実行犯ならわざわざ死体があることをオレに知らせたりはしねーだろうからな……。何食わぬ顔で部屋に入って扉を閉めればいい。騒ぎどころか誰にも気付かれず、こうやって捜査の手が入るリスクを回避できる」
なるほど。ちゃんと理屈があったわけか。
「じゃあどうしてアリバイ探しなんか?」
「はあ? アリバイがなきゃこのままオメーが重要参考人だぞ」
「……」
「なんだよ、その顔……」
「なんでもない」
「……とにかく今はこの件をどうにかするしかねーだろ。その代わり、奴らについて知ってること洗いざらい吐いてもらうからな!」
「まあ……元からそのつもりだけど、そういう事なら」
これが父さんの仕業なら、まず間違いなく私を陥れるためのものだ。私を殺そうとした件を鑑みれば一貫性のある行動とも言える。
相変わらず何がしたいのはさっぱり分からないが……完全に敵とみなして良さそうだ。
では、それに対抗して私は彼の頭脳を借りるとしよう。
「任せていい? 名探偵」
「……ああ、任せろよ」
確固たる自信を秘めた声音のなんと頼もしいことだろう。
組織が武装で固めた潜水艇なら、今はまるで最新鋭のイージス艦に乗った気分だ。
欲を言えば、船が陸へ帰るまでに全ての決着がつけばいいのだけれど。
1656人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ほろにがクラゲ(プロフ) - 莉久さん» わーありがとうございます❗無理なく書いてるものなので、無理なくお楽しみいただければ嬉しいです٩(*´∀`*)۶ キッド様のキザさ、出せているでしょうか…!?🙄(不安) (2022年8月29日 18時) (レス) id: 5ce108a39e (このIDを非表示/違反報告)
莉久 - こんにちは!なかなか時間が取れなくて、ちびちび読んでたんですけど、めっちゃくちゃ面白いです!素直に言って好きです。大好きです。コナンとも打ち解けて、……これからの展開が楽しみです!キッドがキザッ!好きッ!忙しいとは思いますが、更新頑張ってください! (2022年8月28日 16時) (レス) id: 28e45e7c9c (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - サワーさん» わわっ、最初からずっと…!お付き合いありがとうございます!お飲みくださる方々に楽しんでいただければそれが何よりです、最後まで頑張ります!💪 (2022年8月26日 17時) (レス) id: 5ce108a39e (このIDを非表示/違反報告)
サワー(プロフ) - ずっと最初から読んでいた小説がついにクライマックス…!これまでずっと書き続けてくださってありがとうございます!これからもご自身のペースで無理せず書き続けて頂ければと思います!私も毎回楽しみにしています! (2022年8月25日 22時) (レス) @page45 id: fbf43580c0 (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - 推しの財布さん» コメントありがとうございます!段々ややこしくなってきてしまったなと心配していたのでお褒めの言葉とっても嬉しいです…ε-(´∀`*)✨ (2022年7月24日 22時) (レス) @page31 id: 5ce108a39e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ほろにがクラゲ | 作成日時:2022年3月11日 12時