Ep.125 意味があるのか ページ25
私は軽く機関室内を見て回った。釈然としないようではありつつ、コナンも同じように機械の下や側面を覗き込んで回る。
機関制御室の壁にはめ込まれたアクリル板越しに、数名のクルーが操作盤の前を陣取っているのが見えた。
「さすがに制御室は人が常駐してるか……」
立ち入り禁止の場所なので見つからないようその場を離れ、少し考えたあと私たちはもと来た道を引き返し始めた。
「アンタはこの作戦を終えたら逃げるって言ったけど」
「……なに？」
「簡単じゃないってことくらい分かってるはずだ。奴らは裏切り者をどこまでも追ってくる……執拗なまでに」
斜め後ろを歩く彼を振り返りはしなかった。その通り、私はそれくらい分かっている。
だから────……。
「ああ、心配しないでいいよ。鍵はもう手に入ってるから」
「なんだって？」
「それよりもうここはいいから、パーティーに戻ろうよ。どうせ私を探すとか言って適当に抜け出してきたんでしょ。それこそみんながあなたを心配して────」
その瞬間、すぐそこに他人の気配を覚えた。
反応しようとした直後、ぽん、と肩に手を置かれた。
彼ではない。コナンでは私の肩に手が届かないし、今はすぐ隣にいる。
「……ッ！」
「こら！ キミたち、いったいどこから入ったんだ？ ここは関係者以外立ち入り禁止だぞ」
「え？」
手を払って振り返るとそこには、暗色の制服を着た若い男性が佇んでいた。キチッと締めたネクタイ、金色のボタン、船内で何度か見た制服と同じものだ。
なんだ、船の乗務員か。
「あ、ご、ごめんなさーい……」
「それに今はパーティー中だろ？ 親御さんが心配してるぞ、戻った戻った！」
呆れた様子の乗務員にせき立てられ、私たちは階段の方へと誘導された。大して警戒していなかったとはいえ侵入がバレるとは。
……しかし、なんというタイミングだろう。
私たちは会場に戻ろうとしていた。実際、来る時に使った階段は次の角を曲がってすぐだ。この乗務員が声をかけてこようとかけまいと、階段を昇って会場に戻るという私たちの行動は変わらなかったはず。
普通に見つかって怒られるのも有り得ない展開ではまったくないのだが……つい、脚本的に何か意味があるのかと考えてしまうな。
そのときかすかに袖を引かれた。
見下ろすと、コナンがこちらを見ていた。何も言わずに。けれど目はその意図を伝えようとしている。
「…………」
Ep.126 答えるつもりなら→←Ep.124 無事に済むとは思えない
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ほろにがクラゲ(プロフ) - 莉久さん» わーありがとうございます❗無理なく書いてるものなので、無理なくお楽しみいただければ嬉しいです٩(*´∀`*)۶ キッド様のキザさ、出せているでしょうか…！？🙄(不安) (2022年8月29日 18時) (
レス) id: 5ce108a39e (このIDを非表示/違反報告)
莉久 - こんにちは！なかなか時間が取れなくて、ちびちび読んでたんですけど、めっちゃくちゃ面白いです！素直に言って好きです。大好きです。コナンとも打ち解けて、……これからの展開が楽しみです！キッドがキザッ！好きッ！忙しいとは思いますが、更新頑張ってください！ (2022年8月28日 16時) (レス) id: 28e45e7c9c (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - サワーさん» わわっ、最初からずっと…！お付き合いありがとうございます！お飲みくださる方々に楽しんでいただければそれが何よりです、最後まで頑張ります！💪 (2022年8月26日 17時) (レス) id: 5ce108a39e (このIDを非表示/違反報告)
サワー(プロフ) - ずっと最初から読んでいた小説がついにクライマックス…！これまでずっと書き続けてくださってありがとうございます！これからもご自身のペースで無理せず書き続けて頂ければと思います！私も毎回楽しみにしています！ (2022年8月25日 22時) (レス) @page45 id: fbf43580c0 (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - 推しの財布さん» コメントありがとうございます！段々ややこしくなってきてしまったなと心配していたのでお褒めの言葉とっても嬉しいです…ε-(´∀｀*)✨ (2022年7月24日 22時) (レス) @page31 id: 5ce108a39e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ほろにがクラゲ
| 作成日時：2022年3月11日 12時
