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中森は数人の部下を引連れ、最上階へと階段を上り詰めた。
4階に位置するフロアからは、7階の階段をさらに登った屋上へとたどり着くのにそう時間も要さなかった。肩で息をしながら扉を開ける。
───────屋上はもぬけの殻だった。
「キッドめ、下から逃げおったか！」
中森は憎々しげにそう零してから、下の捜索へ向かった部下たちと無線機で連絡をとる。念の為、他の空きフロアも捜索するようにと周囲の部下に命じた。
ふと思い立ってワンフロア下へと降りる。そこは7階、警備会社のオフィスだった。普通の企業であればとっくに定時を迎え、社員は皆帰宅しているが、そこだけは別だ。だがある可能性を考え、中森は警備会社のチャイムを押した。
「はい、何か」
「あーいえ、ここに変わった人物が訪ねてきたりはしませんでしたかな？」
中から出てきたのは、気だるそうに帽子を被り直す中年の男性警備員だった。中森が尋ねると警備員は首を横に振る。やはりキッドもここには手出ししなかったか。捜査のためと一応警備員の顔も引っ張って確認したが、キッドの変装ではなかった。
読み自体は外れたが、付近の警備は万全だ。特に、怪盗キッドが空を飛んで逃げたのでなければ、まだ捕えられる可能性は十分にある。中森は口角を上げると、怒涛の勢いで階段を降り始めた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
同ビル最上階、そこは警備会社の事務所だった。どかどかと階下で響く足音を聞きながら、警備員は帽子を脱ぎ捨てた。
「まったく、何が怪盗だ。いい迷惑だよ、こっちは」
「ホントだよなぁ。何もこんな所でお祭り騒ぎやんなくたっていいのに」
吐き捨てた文句の言葉に、もう1人同僚の警備員が同調を投げかける。
「大体、警官ならついさっき来て、たった今捜査してるとこじゃないか。些細な連携も取れないから、泥棒ごときに毎回逃げられちまってんだろ」
「これは手厳しい。けれど、その通りかもしれませんね」
警備員たちが声に反応して目を向けると、先程訪れたちょび髭の警察より前に来て、オフィス内を捜査していた警官が苦笑いを浮かべていた。
「あ、悪い悪い。あの偉そうな男はアンタの上司かい？」
「ええ、そんなところですかね」
「ま、なんだっていいや。終わったなら出ていってくれよ、この通りここには誰も来てねえんだから」
「そのようですね。ではそろそろ、私も────お
警官は、オフィスの窓を開け放った。
続く (更新停止中)
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←Ep.7 怪盗の正体
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ほろにがクラゲ(プロフ) - 美桜琉さん» こちらこそ続編までありがとうございます！読んでくれる皆様のおかげです……！一生じゃなくていいのでまた着いてきてくださると嬉しいです(笑) (2019年9月28日 14時) (
レス) id: 9807b016db (このIDを非表示/違反報告)
美桜琉(プロフ) - 本当に過去編を書いてくれるなんて、、、！ありがとうございます！！一生ついて行きます！笑 これからも更新頑張って下さい！ (2019年9月25日 20時) (レス) id: 95c48d4791 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ほろにがクラゲ
| 作成日時：2019年9月25日 18時
