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Book Maker / nisn ページ7

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本に栞を挟む時。それはスケジュールに記された時間が来てすべき事を遂行する時か他に気を取られた物事の為に中断する時、もしくは単に内容に飽きてしまった時だと相場は決まっている。私はそのどれでも無く、単に気に入った場面を何度も読み返す為に栞を挟む。そうで無ければこの胸に熱く滾る言葉に出来ぬ感動をもう味わえなくなってしまうのだ。

「そうでしょ、兄さん。」
「……気持ち悪いで。」

彼が特別発注した紫の首輪が強く引かれた。喉が絞まる。首輪に無理矢理押し出された血液が彼から与えられる愛を興奮にすり替えて浅ましく血管を辿って蕩けた脳味噌と熱く滾る下腹部に流れて更にじゅくじゅくと沸騰させる。あまりの高揚に頬を両手で抑えれば犬らしく無いと頭をブーツで床に叩き込んだ。

「犬に手は無い。四足歩行や。」
「わんっ!」

少々くぐもった声になったかもしれない。それでも筆舌出来ぬ快感には我慢ならなかった。彼の美しい御御足が私の後頭部に触れている!何という至極!幸福の極地!私が幸せを味わっている最中も彼は容赦無く私の頭上に乗せたブーツの踵をぐりぐりと減り込ませる。

「だからって此処迄するのはアウトやで、A。」
「も、申し訳、」「犬は喋らへん。」

彼の御御足が頭から離れてゆく。物寂しいと思った瞬間に次の鉄槌が叩き込まれる。唐突に上方向に首輪が引っ張られた。私も自動的に其方を向くことになる。上を向いた時に彼の手元に視線が吸い寄せられる。それは私がこっそり彼に仕込んでいた録音機。持運びの為に軽量化、縮小化が施されたソレは私にとって彼に秘密裏で彼の日常を知る道具となっていた。指の間に挟まった小型のソレは彼が指を開く毎に数を増やして行く。彼は私の首輪を引っ張るリードと反対のその手を屈んで私の眼前に突き付けた。ひゅ、と喉が締まる。

「四つは自力で見つけたんやけどなぁ……まだこんなもんやあらへんやろ。残りは何処や。」
「ベッドの下と書斎の地球儀、あとクローゼットの中にあるコートと壁掛け時計の後ろ、テレビのリモコンの中、脱衣所の天井、ダイニングの食器棚の奥とテーブル、玄関前の靴棚の奥二段目で全部です。」
「ええ子。」

Book Maker / nisn→←大海に沈みし/ shorn


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鵯(ひよどり)(プロフ) - 栄養失調さん» みんな大好きやまとちゃんですが、噂(史実)によると沈没日が4月7日付近らしいのです。厳密には沖縄周辺にはでは散っておりますが、あくまで全国平均です。大和戦艦ミュージアムで桜の花をモチーフにしていたりしたのでつい。コメント誠に有難うございます。 (2019年10月14日 7時) (レス) id: 470ef09c6f (このIDを非表示/違反報告)
栄養失調 - 鵯さんの書く作品は本当に美しいですね。言葉一つ一つが繊細で……なんか、言葉にできないような、はい。頑張ってください!!!!(やけくそ) (2019年10月14日 1時) (レス) id: 3967b4b60c (このIDを非表示/違反報告)
栄養失調 - ちょっと待った(迫真)桜纏し大和戦艦……?さくら……さく……ら……?桜は散り際が……一番……(涙戦崩壊) (2019年10月14日 0時) (レス) id: 3967b4b60c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鵯(ひよどり) | 作者ホームページ:  
作成日時:2019年9月19日 22時

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