桜纏し大和戦艦/ grppn ページ4
#史実は関与しない。類似した全くの別物。
彼女は私の一番よく出来た娘で一番愛を注いだ誉高き娘だった。彼女の名を大和という。大正時代の戦艦を母に持つ強い戦艦だ。彼女は最初から私に愛されていた稀有な娘だった。そんな可愛い可愛い愛娘を他人に知られるのは面白く無かった。稀有で高貴で純粋無垢な我が子。私を慕って業務に勤しむ姿はどうにも捨て置けなかった。
「お父上。只今大和が参上仕る。してどの様にお望みか。」
「嗚呼、良い子だ。」
彼女の事は彼女が生まれる前から特に期待していた。ロンドン海軍軍縮条約という途方も無い牽制の目が無くなれば矮小で脆弱な海軍は忽ち滅多刺しに合うことは目に見えていた。より強くより優れた子供を造る為にはやはり研究が不可欠。そんな時に読んでいた資料の中に旧き我が国の海軍戦艦を纏めたものが発掘された。どうやら大和と名付けられたこの艦隊は当時の最新式でありながら凄まじい威力を発揮していた。其処にまさに神の導きの様に素晴らしい構想を閃いた。そうだ、この娘ならきっと強い戦艦になれる。私は無我夢中で戦艦の発注申請資料を練り上げていった。
「却下だ。」
「陸軍大臣、何故そう思われる。」
大日本帝国軍需運営議会でバッサリ易々と宣言された。もうこの時には海よりも空が重視されていた。オス田陸軍大臣は眉間に皺を寄せ高らかに侮蔑の意図を持って声を張り上げる。普段は柔和に微笑む切長の瞳も大きく開き、その気迫にその場にいた首相は怯えた声を漏らす。
「この後に及んでボロ戦艦如きに一億もかけられん。それに今や時代は空や。その一億円をうちの航空開発に注いだ方が現実的やろ。」
「せやで、海軍大臣。そんなへっぴり腰ではボルシェビキも腹を抱えて笑いますわ。」
かちり。憤怒が全身を包んだが、此処はあくま紳士の社交場。言い返せば言い返す程に不利となる。何と言っても陸軍大臣は口撃の天才だ。彼に口で勝とうだなんて無謀過ぎる。私は奥歯を噛んで耐え、自身を落ち着かせる様にふう、と息を吐いた。無言は肯定。言い訳は揚げ足取り。ならば真実を伝えるのが最も効果的だ。私は侮蔑し、嘲り笑う陸軍に対して和かに応対するのみ。表情が不自然で無ければいいが。
桜纏し大和戦艦/ grppn→←データに価値など無い/ tntn
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
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鵯(ひよどり)(プロフ) - 栄養失調さん» みんな大好きやまとちゃんですが、噂(史実)によると沈没日が4月7日付近らしいのです。厳密には沖縄周辺にはでは散っておりますが、あくまで全国平均です。大和戦艦ミュージアムで桜の花をモチーフにしていたりしたのでつい。コメント誠に有難うございます。 (2019年10月14日 7時) (レス) id: 470ef09c6f (このIDを非表示/違反報告)
栄養失調 - 鵯さんの書く作品は本当に美しいですね。言葉一つ一つが繊細で……なんか、言葉にできないような、はい。頑張ってください!!!!(やけくそ) (2019年10月14日 1時) (レス) id: 3967b4b60c (このIDを非表示/違反報告)
栄養失調 - ちょっと待った(迫真)桜纏し大和戦艦……?さくら……さく……ら……?桜は散り際が……一番……(涙戦崩壊) (2019年10月14日 0時) (レス) id: 3967b4b60c (このIDを非表示/違反報告)
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