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Angel blue / knsm ページ23

#試験的なもの。



彼女を一目見た時、胸が高鳴った。南棟228号室。其処が彼女の居場所で人生で全てだった。彼女は病院特有の薄いレースカーテンから溢れる夕陽を自身の背にして、窓から落ちる光を床に反射させて見ていた。彼女は泣いている様だった。病気で抜けてゆく色素の中未だ辛うじて残っている彼女の色から無色透明がぽろぽろと金剛石としてシーツの海に落ちてゆく。

「A、お見舞いに来たで。」
「しっ、ま。いらっしゃい。」

彼女がにこり、と笑った。昔は茶渋が付着してよく歯医者に通うように勧めたものだが、今や純白と言って差し支え無い程に脱色されていた。彼女と医者曰く、死んでしまったらその歯は真珠になってしまうのだという。死んで尚、彼女の存在はこの世に残らないらしい。

「果物、身体に良いらしいから持って来たで。」
「花の方が嬉しかったな。」

彼女はもう既に手遅れらしかった。最初は点滴と普通の食事、アントシアニンを含有した処方薬で十分だったが、人は生命活動上、細胞を作ったり、壊したりする。それに色素は必要不可欠な部分があり、次第に薬では追い付かなくなった。食事でもよく頑張っていたが、所詮生命活動には誰も逆らえない。彼女は次第に暗い部屋で日に当たらず、静かな場所で余生を過ごす事になった。彼女はそう宣告されても全く落ち込まず、寧ろ安堵した表情で幸せそうに笑っていた。其れ程迄に苦しかったのだろう。気づかず、酷な事をさせてしまったのかもしれない。

「やっと、やっと。だねえ。」

そう言った彼女の笑顔が脳奥に媚びりついて離れない。最近は筋力も衰えてめっきりベッドの上から動かなくなってしまった彼女。色が抜けてしまい、ロイヤルブロンドになった彼女の髪の毛は先程迄昼寝でもしていたのか毛先が洗練された飴細工みたいにほつれている。視力が徐々に失われてゆく彼女に少しでも季節を味わって欲しくて果物のバスケットを膝上においてやる。

「なぁ、A。」
「うん?」

その髪は正に金糸。その滑らかな肌は大理石。その唇はピンクトパーズ。その歯は真珠。その涙はダイヤモンド。その血液はルビー。そして嵌め込まれた双眸は天使が差した美しい水色。

「……何でもないわ。」

Dieamond / htrnrn→←束ねられし/ rbr


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鵯(ひよどり)(プロフ) - 栄養失調さん» みんな大好きやまとちゃんですが、噂(史実)によると沈没日が4月7日付近らしいのです。厳密には沖縄周辺にはでは散っておりますが、あくまで全国平均です。大和戦艦ミュージアムで桜の花をモチーフにしていたりしたのでつい。コメント誠に有難うございます。 (2019年10月14日 7時) (レス) id: 470ef09c6f (このIDを非表示/違反報告)
栄養失調 - 鵯さんの書く作品は本当に美しいですね。言葉一つ一つが繊細で……なんか、言葉にできないような、はい。頑張ってください!!!!(やけくそ) (2019年10月14日 1時) (レス) id: 3967b4b60c (このIDを非表示/違反報告)
栄養失調 - ちょっと待った(迫真)桜纏し大和戦艦……?さくら……さく……ら……?桜は散り際が……一番……(涙戦崩壊) (2019年10月14日 0時) (レス) id: 3967b4b60c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鵯(ひよどり) | 作者ホームページ:  
作成日時:2019年9月19日 22時

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