今の俺と、昔の俺【Fischer's】 (ページ12)

今日:5 hit、昨日:0 hit、合計:1,412 hit

10話ページ12

『悪いが、帰らせてもらう。』

さっきから頭がひどく痛む。流石に熱が上がったか…。なんて考えながら、対応し、なおかつ柴乃にバレないようにしなければならないあたり、キツい

「っ、まてよ…！！」

…はぁ

『シルク、マサイ、モトキ、ぺけ、ンダホ。俺はお前らと、あと二人、そしてあいつらにされてきたことを忘れるつもりなんてねぇ。つーか、忘れらんねぇ。夢にまで出てきやがる』

一息ついて、俺はこう告げた。

『俺はお前らが憎いほど大嫌いだ。これ以上、関わるな』

それだけを言い残し、柴乃の腕をひいて部屋を出る。がしかし、しつこくも追いかけてくるのは、シルクとマサイだ。

「っ、1回だけでも！！」

「俺は、お前と話がしたいんだよ！！！」

そんな声は聞こえない、いや、聞いていない。

「優奈……？」

不安げに俺を見つめる柴乃。

『…柴乃、このタクシーで先帰ってな。すみません、◯◯ってとこまで。』

柴乃をタクシーへと乗せる。不安そうに、俺を見上げて何かを言おうとした柴乃の頭を優しく撫で、タクシーを見送った。

「やっと、止まった、…」

息の切れている二人。相当走ったんだろうな。俺には関係の無いことだが。