大切な人の席【江戸川乱歩】

19席 ページ36

ナオミside

な、何ですか今の…Aさんには、大事な人が居るのに！

「Aさん、明日行くんですか？」

「うーむ…行ってみるだけ行ってみようかな？」

えぇ？！

ハッ！思わず口から出るところでしたわ…曰く、態々来てくれるんだからその位安いものだ、と

安くないです！！高いですわ！！

若しかしてAさんは、恋愛を経験したことが無い…？

若し明日一緒にお茶をするってなったら、乱歩さん拗ねてしまいますわ

これは与謝野さんと会議を開かなければ

「うーん？そんなに駄目か？」

「えっ！？あ、まぁ…どうなんでしょうかね？」

だって！あの人の目見ました！？恋する目でしたわ！狙われてますわ！

殴って差し上げましょうかと思いました！

「ま、乱歩には内緒ね」

「…乱歩に内緒話は」

「効かないよねぇ。まっ何とかなるよ」

乱歩さんが機嫌を損ねる未来しか見えません…私どうしましょう…

そうこう云っていると乱歩さんと賢治くんが帰ってしましたわ

「君、少し着いてきてくれ」

「？はい！」

Aさん？と困惑していると、此方を振り向き小悪魔が浮かべそうな笑顔を浮かべ

「君も着いてくるよね？ナオミ」

「な…はい、はい！行きますわ！」

名前で呼んで貰えた！ふふっ嬉しい！


＿＿＿＿

「……」

「何？乱歩」

「いいや。行ってらっしゃい」

「行ってくるよ」

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